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「春着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

春着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
にも遇《あ》える時が来たのだ、嬉しい。嬉しい。――彼女はそう思いながら、それでも春着の膝の上へ、やはり涙を落している彼女自身を見出《みいだ》したのだった。 が....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
おまえを見舞っていただくことにした。そのつもりでいなさい。 帰らないと言うから春着を送りました。今年は胴着を作って入れておいたが、胴着は着物と襦袢《じゅばん》....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
てくれと言った。目見得に行くといっても碌な着物も持っていない。いま縫いかけている春着はあしたでなければ仕立てあがらないから、どうかあさってに延ばしてもらいたいと....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
んですよ。お前さん。節季《せっき》はもう眼の前につかえているんじゃありませんか。春着をこしらえるなら拵えるように、せめて手付けの一両ぐらいこっちへ預けて置いてく....
」より 著者:島崎藤村
った。 「母さんは御飯が何処へ入るか分らない……」 お雪はすこし風邪の気味で、春着の仕度を休んだ。押詰ってからは、提灯つけて手習に通って来る娘達もなかった。お....
うつり香」より 著者:近松秋江
」柳沢も自分の胸のあたりを見まわして、気持ちよさそうに言った。 「私もこんど好い春着を拵えたわ。……もう出来て来たわねえ」 お宮はも一人の小女をちょっと誘うよ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
ていた時分の客も少しはあるものらしく、暮には何か裏までぼかし模様のあるすばらしい春着などを作って、※嫋と裾を引きながら、べろべろに酔って庸三の部屋に現われること....
足迹」より 著者:徳田秋声
、その金を持って帰って来ると、ようやく諸払いを済まして、お庄兄弟のためにも新しい春着が裁ち縫いされ、下駄や簪も買えた。お庄らは田舎から持って来た干栗や、氷餅の類....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
だけに、五つ紋の雪びたしは一層あわれだ、しかも借りものだと言ったっけかな。」 「春着に辛うじて算段した、苦生の一張羅さ。」 「苦生?……」 「知ってるじゃないか....
枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
すからと云い置いて医者は帰ってしまった。 妻は枕元の火鉢の傍で縫いかけの子供の春着を膝へのせたまま、向うの唐紙の更紗模様をボンヤリ見詰めて何か考えていたが、思....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
その姿態を大胆に描出し、自己表現の写生句を試みている。 ぬかるみやうつむきとりし春着褄 和歌女 病み心地の母とよりそひ林檎むく みさ子 紫陽花きるや袂く....
」より 著者:岡本綺堂
旦那の船が漕ぎ着けて、すぐに小雛を引揚げて介抱する。櫛や笄はみんな落してしまい、春着はめちゃめちゃで、帯までが解けて流れてしまったが、幸いに命だけは無事に助かっ....
正月の思い出」より 著者:岡本綺堂
の大通りを横に切れ、弁慶橋を渡って赤坂へさしかかると、ここは花柳界に近いだけに、春着の芸者が往来している。酔っ払いもまた多い。見るもの、聞くもの、戦捷の新年風景....
真吉とお母さん」より 著者:小川未明
母さんは、お達者でいらっしゃいますよ。昨日おいでになって、東京へいっている息子の春着を造ってやるのだと、反物を買ってお帰りになりました。」と、おかみさんは、告げ....
猟師と薬屋の話」より 著者:小川未明
とめて、無事にもどってくれればいい。そして、くまのいがいい値で売れたら、子供にも春着が買ってやれるし、暮らしもよくなるだろうし、こんないいことはないのだが。」と....