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春蚕
「春蚕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
春蚕の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みちのく」より 著者:岡本かの子
に積まれているらしい繭《まゆ》の山の尖《さき》が白く覗《のぞ》かれた。 「近在で
春蚕《はるご》のあがったのを買集めているところです」 有志の一人は説明した。ど....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
後訛《えちごなまり》で、「若布はようござんすかねえ」と呼んで来る声を聞くと、もう
春蚕《はるこ》で忙しい時になるのでした。 御承知の通、小諸は養蚕|地《どこ》で....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
分の家屋敷を他に占領されてそれを知らずに働いているともいう。 祭の前夜
春蚕が済む頃は、やがて土地では、祇園祭の季節を迎える。この町で養蚕をしない家は、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
盛りの手代らしい調子で、 「宮川先生も、ずいぶんお待ちになったでしょう。なにしろ
春蚕の済まないうちは、どうすることもできませんでした。糸はでそろいませんし。」 ....
「家」より 著者:島崎藤村
かなく成った……」 明るい二階で、日あたりを描いた額の画の上に、日があたった。
春蚕の済んだ後で、刈取られた桑畠に新芽の出たさま、林檎の影が庭にあるさまなど、玻....
「蠅」より 著者:横光利一
士は宿場へ着いた。彼は四十三になる。四十三年貧困と戦い続けた効あって、昨夜|漸く
春蚕の仲買で八百円を手に入れた。今彼の胸は未来の画策のために詰っている。けれども....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
俺等の田は、今年は大へん出来が悪くて、小作米の半分も出来ねえのでごわすが、来春の
春蚕が上るまで待って項くわけに行きしめえか?」 斯う言って捨吉爺は、地主の森山....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
桑の嫩葉を摘みながら歌を唄っていて、今しも一人が、 わたしぁ桑摘む主ぁ※まんせ、
春蚕上簇れば二人着る。 と唱い終ると、また他の一人が声張り上げて、 桑を摘め摘め....
「入れ札」より 著者:菊池寛
を避けて、裏山へかかって来るに連れて、夜がしらじらと明けて来た。丁度上州一円に、
春蚕が孵化ろうとする春の終の頃であった。山上から見下すと、街道に添うた村々には、....
「自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
の崩壊で押出された広い石礫地区ができております。それをここでは、とくにその部分を
春蚕専用の桑園地として利用しております。発芽も赤土の処よりは早く、まことに好都合....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
までの一日仕事をおえて帰るにも、手ぶらでは帰らない、腰の曲った体のかくれるほど、
春蚕の桑の葉を背負いこんで、なお、夜業に飼蚕でもやろうというくらいなお杉婆あさん....