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「昨秋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昨秋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
畜犬談」より 著者:太宰治
しているからいけないのだ。容赦《ようしゃ》なく酷刑《こっけい》に処すべきである。昨秋、友人の遭難を聞いて、私の畜犬に対する日ごろの憎悪は、その極点に達した。青い....
豚群」より 著者:黒島伝治
。健二は、三里ほど向うの醤油屋街へ働きに出ていた。だが、小作料のことから、田畑は昨秋、収穫をしたきりで耕されず、雑草が蔓《はびこ》るまゝに放任されていた。谷間に....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
として詰りました。 「いらぬ邪魔立て致して、御僧は何者じゃ」 「当行学院御院主、昨秋|来関東|御巡錫中の故を以て、その留守を預かる院代玄長と申す者じゃ。邪魔立て....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
大分|界隈に蕃殖した。一昨年から押入婿のデカと云う大きなポインタァ種の犬も居る。昨秋からは追うても捨てゝも戻って来る、いまだ名無しの風来の牝犬も居る。然し愚な鈍....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
午閉式、引続いて祝宴に移り翁の逸話懐旧談に歓を尽し一時過ぎ散会した。因に同銅像は昨秋十月旧門弟一同発起となり一月着工、胸像は福岡県糸島郡出身彫塑家津上昌平氏の献....
社会時評」より 著者:戸坂潤
に見えるようだ。何かの固定した恐迫観念が脳神経にコビリ付いていたのだろう。すでに昨秋帰朝した時以来、友人の語る処によると、数多の奇行が目立つので、友人は無論のこ....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
て、又一が無事に帰るの後には、更に幾分かの助けたらん事を日夜怠らざるなり。 寛は昨秋より不消化の為めに悩む事あり。其後は喰慾は復するも、然れども大に喰量を※ずる....
掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
しかった。その途中、余波は東京にまで及んで、多少の風雨を見るということであった。昨秋の台風の記憶がまだ脳裏に新たな市人は、中央気象台のやや鎮撫的な報告があるのに....
小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
盆地の野良を歩いて、農家の娘に可愛い顔立の多かったこと、然し、偶然かも知れない。昨秋はじめて富士見へ行くとき、家の近所のカストリ屋のオヤジ(と云っても三十ぐらい....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
くと記してあるのみであった。二、三年前に利根の対岸宮郷村の豪農から嫁たみを貰い、昨秋長男の裕八郎が出生してから、まだ半歳とたっていない。 殆ど無断にもひとしい....
盗難」より 著者:佐藤垢石
こんな羽目に導いたのではないかと思う。私は、家内の心を哀れに見た。 京都の姉は昨秋、義兄は今春他界した。事件以来私は義絶していたのだ。今年の初夏のころ、みゑ子....
」より 著者:犬田卯
のである。勝からいえば自分にあてがわれたその股引と手甲が、ことに股引が――それは昨秋東京の工場へ行った長兄がそれまで使用していたもので、全くだぶだぶで脚に合わず....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
ことごとく舞い上がり、盆を転倒して去りたり」という。 余、これを試みんと欲し、昨秋自宅において、前後数回試験を施したることあり。はじめに、ある学生四、五名とこ....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
、久しぶりに、めでたく卒業した、愛する妹が帰って来まして、七条駅まで迎えに行き、昨秋以来の、なつかしい逢瀬の、互いに労う挨拶を交わす時にも、兄妹ともしあわせな心....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
体面に災いせられて、神のみ業、諸聖人の通功の妨げをしているのではないでしょうか?昨秋合同葬の際に私どもは神父様をはじめ多くの霊魂に誓い、天国よりのお助けをこい願....