時の間[語句情報] » 時の間

「時の間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

時の間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
たまたなんとかしなければならないはめに立った木村は、二三日のうちに、ぬか喜びも一時の間で、孤独と冬とに囲まれなければならなかったのだ。 葉子は木村が結局事務長....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、厭々それは離れたが、坊やが何と云っても肯かなくって、果は泣出して乱暴するので、時の間も座を惜しそうな夫人が、寝かしつけに行ったのである。 そこへ、しばらくし....
星あかり」より 著者:泉鏡花
丹、鬼百合、夏菊など雑植の繁った中に、向日葵の花は高く蓮の葉の如く押被さって、何時の間にか星は隠れた。鼠色の空はどんよりとして、流るる雲も何にもない。なかなか気....
春昼」より 著者:泉鏡花
で、くるくると廻った。 気がつくと、四、五人、山のように背後から押被さって、何時の間にか他に見物が出来たて。 爾時、御新姐の顔の色は、こぼれかかった艶やかな....
天守物語」より 著者:泉鏡花
骨ばかりになりますわ。……そりゃこそ、申さぬことではなかった。お土産の顔つきが、時の間に、細長うなりました。なれども、過失の功名、死んで変りました人相が、かえっ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
「ええ、口惜しい。」 乱れがみを※りつつ、手で、砕けよ、とハタと舷を打つと……時の間に痩せた指は細くなって、右の手の四つの指環は明星に擬えた金剛石のをはじめ、....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、はあ、いかにも、」 と言ったばかり、嫗の言は、この景に対するものをして、約半時の間、未来の秋を想像せしむるに余りあって、先生は手なる茶碗を下にも措かず、しば....
黒百合」より 著者:泉鏡花
三十 その悪戯といったらない、長屋内は言うに及ばず、横町裏町まで刎ね廻って、片時の間も手足を静としてはいないから、余りその乱暴を憎らしがる女房達は、金魚だ金魚....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
楽しみでございましたが、矢張り寿命と見えて、直にお後を慕うことになりました。一|時の間こそ随分くやしいとも、悲しいとも思いましたが、近頃は、ドーやらあきらめがつ....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
た後であった。ふと何かに脅されたような心もちがして、思わずあたりを見まわすと、何時の間にか例の小娘が、向う側から席を私の隣へ移して、頻に窓を開けようとしている。....
註文帳」より 著者:泉鏡花
と短胴服、などを一かかえに、少し衣紋の乱れた咽喉のあたりへ押つけて、胸に抱いて、時の間に窶の見える頤を深く、俯向いた姿で、奥の方六畳の襖を開けて、お若はしょんぼ....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
かったのか知らん。それともじっとして据わっていた方が好かったのか知らん。 一秒時の間、扉の開かれた跡の、四角な戸口が、半明半暗の廊下を向うに見せて、空虚でいた....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
っていて呉れる。この茸は全く人間味を離れて自然の純真な心持を伝え、訪問者をして何時の間にか仙人化してしまう。その仙人化されてゆくところに私は大なる興味をおぼえ、....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
る考えであった。しかるに攻勢初期は予期以上に好結果を得たので、ルーデンドルフは何時の間にやら最初の目標を変えてソンム南岸に兵を進め、更に大規模な作戦に転じようと....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
小蒸汽や達磨船である。五大力、高瀬船、伝馬、荷足、田舟などという大小の和船も、何時の間にか流転の力に押し流されたのであろう。僕はO君と話しながら「※湘のように悠....