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「時分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

時分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
た実際その頃はもうあの大地震《おおじしん》があってから、かれこれ一年あまり経った時分で、校長がこの問題を切り出した以前にも、内々同じような相談を持ちかけて私の口....
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
しゃ》いますには、 「私《わたくし》はあなたのおかげで命拾いをしましたが、妹は今時分どこでどんな目に逢《あ》って居りましょう。」 髪長彦はこれを聞くと、また白....
一夕話」より 著者:芥川竜之介
》藤井のこういったのは、もうそろそろ我々の顔にも、酔色《すいしょく》の見え出した時分である。 「僕はそいつを見せつけられた時には、実際|今昔《こんじゃく》の感に....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
から、御帰りになる御車《みくるま》の中で、急に大熱が御発しになり、御帰館遊ばした時分には、もうただ「あた、あた」と仰有《おっしゃ》るばかり、あまつさえ御身《おみ....
河童」より 著者:芥川竜之介
てみたり、四《よ》つん這《ば》いになったりして見せるのです。おまけにちょうどいい時分になると、さもがっかりしたように楽々とつかませてしまうのです。僕の見かけた雄....
片恋」より 著者:芥川竜之介
君、元は志村《しむら》の岡惚《おかぼ》れだったんじゃないか。 志村の大将、その時分は大真面目《おおまじめ》で、青木堂へ行っちゃペパミントの小さな罎《びん》を買....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
彼女の夜着の裾に、まろまろ寝ている犬を見るのが、文字通り毎夜の事だった。 「その時分から私は、嫌だ嫌だと思っていましたよ。何しろ薄暗いランプの光に、あの白犬が御....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
りはっきりと、こんな思い出が残っている。―― それはまだ兄や彼が、小学校にいる時分だった。洋一はある日慎太郎と、トランプの勝敗から口論をした。その時分から冷静....
おしの」より 著者:芥川竜之介
ここは南蛮寺《なんばんじ》の堂内である。ふだんならばまだ硝子画《ガラスえ》の窓に日の光の当っている時分であろう。が、今日は梅雨曇《つゆぐも》りだけに、日の暮の暗さと変りはない。そ....
」より 著者:芥川竜之介
で話し出したのである。 「もうかれこれ三四十年前になりましょう。あの女がまだ娘の時分に、この清水《きよみず》の観音様へ、願《がん》をかけた事がございました。どう....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
れながら、転げるように外へ逃げ出しました。 三 その夜の十二時に近い時分、遠藤は独り婆さんの家の前にたたずみながら、二階の硝子窓に映る火影を口惜しそ....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、全部をチンダルに譲ることにした。 ファラデーの心身は次第に衰弱して来た。若い時分から悪かった記憶は著しく悪るくなり、他の感覚もまた鈍ってが見えると言ったら、....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
国境の荒くれ男どもが跳梁跋扈したのである。しかし、それからもういく年か過ぎ、この時分には当時の物語をする人もちょっとした都合のよいつくりごとで話に色をつけ、記憶....
親ごころ」より 著者:秋田滋
那のようななりをしているねえ。だけど、お爺さん、ごらんよ、あの顔はお前さんの若い時分の顔にそッくりだよ」 老人はそう聞くと思わず飛びあがった。 なるほど、女....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
っと三人かたまり五人集って、三里の道を博多へと帰り始めたとお思い下さい。勿論その時分乗りものが有ろう筈もない。 然るに湧き返る青年達の血潮は玄海灘から吹きつけ....