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「時務〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

時務の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉良上野の立場」より 著者:菊池寛
の長老たるべきものが、よきに計らうべきだが、藤井も安井も算勘《さんかん》の吏で、時務ということを知らん。国家老の大石でもおれば、こんなばかなことをすまいが。浅野....
真田幸村」より 著者:菊池寛
けあって、少しも怯びれず、「北条家に於て、更に違背の気持はなかったが、辺土の武士時務を知らず、名胡桃を取りしは、北条家の運の尽くる所で、是非に及ばざる所である。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ド・モレルのような英国人があって、この人は組織の才をもつばかりでなく、言うことも時務に適し、日本は将来ヨーロッパ人の手を仮りないで事を執る準備がなければならない....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
かしながら、学者の説はそのままにて直ちに実行されるものは少ないのである。必ずや、時務に通じたる実際家が社会の需要に応じてその理論を実行するのを待たねばならぬ。ベ....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
い。あるいは世を累ぬるに至るかも知れない。そしてこの期間においては、学問の生活と時務の要求とが截然として二をなしている。もし時務の要求が漸く増長し来って、強いて....
三国志」より 著者:吉川英治
弱はしているが、単なる老衰でもないし、持病らしい宿痾も見あたらないのである。 「時務のお疲れでしょう。何かひどく、心悸を労されたことはありませんか」 「いや閑職....
三国志」より 著者:吉川英治
ろん江夏の黄祖を破るのを前提とします。黄祖は怖るるに足りません。彼もはや老齢で、時務には昏昧し、貨利をむさぼることのみ知って、上下、心から服しておりませぬ」 「....
三国志」より 著者:吉川英治
が、何事かこれへ報らせに飛んできた。 大宴満酔の折も折、席も席であったが、 「時務は怠れない」と、曹操は、早打ちの者を、すぐ階下によびよせて、 「何事やある?....
三国志」より 著者:吉川英治
。 「まことにお久し振りでした」 瑾は関羽に会うと、呉侯の胸として伝えた。 「時務を知るは名将の活眼。大勢はすでに決しました。荊州九郡の内、残るは麦城の一|窟....
三国志」より 著者:吉川英治
心、読むに耐えないものがある。 ――旦ヲ待チテハ、次ノ日マタ、病ヲ扶ケラレテ、時務ヲ治ム。為ニ、日々血ヲ吐イテ止マズ。死シテハマタ甦エル。 カクテ昼ハ共ニ魏....
三国志」より 著者:吉川英治
である。 「いやしくも一国の宰相でありながら、夜は更けて寝ね、朝は夙に起きいで、時務軍政を見、その上、細かい人事の賞罰までにいちいち心を労い過ぎているのは、真の....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ほどな年歯だが、それでもおおいえない疲労の翳を見せながら、しいて薄く笑った。 「時務、軍務などは、いくら多端でも何ともせぬが、先帝(後醍醐)のお守りにはとんと手....
私本太平記」より 著者:吉川英治
一巡を終って、高氏は、庁の床几場へもどって来た。 すると、ここにも彼を待つ時務や訴えが山積していた。 訴えの中には、山野へ避けた難民の代表者もいて、庁の....
私本太平記」より 著者:吉川英治
朝に出ることもないらしい。社交上のやむない向きへは、執事の高ノ師直をやり、公庁の時務には、もっぱら弟の直義が出むいて事にあたっている。しきりと高氏へ接したがって....
私本太平記」より 著者:吉川英治
かえていた。“時の人義貞”にまたたく春の半日は暮れてしまう。「所用あれば、あとの時務は一さい明日聞く」と表方へいいわたして、湯殿の湯けむりに浸ったのがもう約束の....