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時変
「時変〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時変の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
の以前医者の家であったというたが、その家の嬢様じゃ。
何でも飛騨《ひだ》一円当
時変ったことも珍らしいこともなかったが、ただ取り出《い》でていう不思議はこの医者....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
《と》った魚を取り上げられる時に出すような唸声《うなりごえ》を挙《あ》げた。この
時変だなと気がついたのは自分だけである。小供はよく寝ている。妻は針仕事に余念がな....
「行人」より 著者:夏目漱石
自分から彼を試験しようという勇気は無論起し得なかった。三沢から聞いた兄の講義が一
時変になった話も母には告げ得なかった。
自分は何も云う事のないのに、ぼんやり暗....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
せるのは伴野から来た連中だ。 清内路を経て、馬籠、中津川へ。浪士らの行路はその
時変更せらるることに決した。 「諸君――これから一里北へ引き返してください。山本....
「処女作追懐談」より 著者:夏目漱石
なければならぬ。何故《なぜ》というのに、困ったことには自分はどうも変物である。当
時変物の意義はよく知らなかった。然し変物を以て自《みずか》ら任じていたと見えて、....
「蓮花図」より 著者:宮本百合子
心にも、白々と雨戸のしまった空家は、叢が深ければ深いだけ、フッと四辺が森閑とした
時変な気持を起させるのか、荒庭は直放棄されてしまった。 もう子供の声もしない。....
「平野義太郎宛書簡」より 著者:野呂栄太郎
の微熱が出ますので仕事の能率があがらず閉口しています。当地もすでに花時を過ぎて四
時変らぬ松の緑ばかりとなりましたが、それでも新緑の候は格別です。御閑暇もあらば御....
「じいさんばあさん」より 著者:森鴎外
返した。 「これは」と云って、伊織は傍にあった刀を取って立った。伊織の面色はこの
時変っていた。 伊織と下島とが向き合って立って、二人が目と目を見合わせた時、下....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
の貞操を保護するために、その妻妾連の局部へまとわせたという鉄製の「貞操帯」を見た
時変な気がした。狂人のような好奇心に猟り立てられたのである。 「こういう種類の品....
「おせん」より 著者:邦枝完二
が。……」 「それはまァ、うれしゅうござんす」 「だが御安心は御無用じゃ。いつ何
時変化があるか判らぬからのう」 「はい」 「お見舞の方々も、次の間にお引取りなす....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
たものだったと思うが、今ではその日本太郎味が時に少々ナツカシクなるなどは、星移り
時変わるですね」 と木村荘八画伯が「寄席冊記」(大正十四年)の中で言っていられ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
保守の一方を取るか、しからざれば改進の一方を守らざるを得ず。これ、他なし。ただ、
時変に応じてその中を維持せんと欲するのみ。ゆえに、保守の一方を取るものは、改進の....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
な方面から観ております。人間が死ぬのは、すっかりなくなってしまうのではなくて、一
時変化するだけだ。ちょっと私たちに見えなくなるだけだ。人の生死はちょうど大河の水....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
》元の形に立戻るという卦であります。この卦から考えて見ますと、現在のお身の上は一
時変った事の起った後、追々もとのようになって行こうという間のように思われます。天....