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「時季〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

時季の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高山の雪」より 著者:小島烏水
一体高山の初雪というのは、改まった暦の初めに降るという意味なのでなく、雪の消滅時季なる夏を通過してから、後に初めて降る雪を言うのである。故に一月元旦に降ったか....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
以上も繰り返して、八月の一日からともかくも病床をぬけ出すことになった。病人によい時季と云うのもあるまいが、暑中の病人は一層難儀である。わたしはかなりに疲労してし....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
織で、身軽に出立った、都会かららしい、旅の客。――近頃は、東京でも地方でも、まだ時季が早いのに、慌てもののせいか、それとも値段が安いためか、道中の晴の麦稈帽。こ....
山の湯雑記」より 著者:折口信夫
ったまま、豆も作らずにある。豆で思い出すが、此畠を荒すと謂われている郭公が、まだ時季は過ぎないのに、初めから鳴いた事がない。此辺の山間に居ないのか知ら。 時鳥は....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
うことが出来る。一首の意は、信濃の国の須賀の荒野に、霍公鳥の鳴く声を聞くと、もう時季が過ぎて夏になった、というのである。霍公鳥の鳴く頃になったという詠歎で、この....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
敷へ出る女中はたった二人っきりで、いずれも身許の確かな者ばかりである。夏場繁昌の時季になると、渡り者の奉公人も随分入り込むが、現在のところではそんな疑いをかける....
海亀」より 著者:岡本綺堂
よいよ暗くなった。 もちろん葬式の間に合わないのは僕も覚悟していたが、殊に暑い時季であったために、葬式はもうおとといの夕方に執行されたということを、僕は実家の....
マレー俳優の死」より 著者:岡本綺堂
の空には赤い星が一面に光っていた。これから三月四月の頃がシンガポールでは最も暑い時季であると、早瀬君はあるきながら説明してくれた。 「土地の人は暑いのに馴れてい....
海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
は、黄金河豚が圧倒的だ。しかし、魚体が小さく百匁位より大きくならないのと、漁れる時季が甚だ短いので惜しまれている。虎河豚のように皮膚に刺はなく肌に黄金色の艶が出....
最初の出品画」より 著者:上村松園
は、幅二尺五寸、竪五尺の絹本に四人の女性人物が描かれてあり、それぞれ春夏秋冬の一時季を表わしている、といった極く簡単なもので、まず春には一ばん年端の若い娘を描き....
薬前薬後」より 著者:岡本綺堂
月以上も繰返して、八月の一日からともかくも病床をぬけ出すことになった。病人に好い時季というのもあるまいが、暑中の病人は一層難儀である。わたしはかなりに疲労してし....
大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
最も晩年なる五年中に書かれたものである。 体質の弱い彼は一年の間に画作に適する時季を極めて僅かしか持たなかったと毎々言って居たが、随筆には時季を選ばなかったの....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
これ最も私の執るべき道筋でありますからその方向に進むことに極めました。で、その時季を待つことにしましたがどうしても陽暦の六月にならなければ雪の山を踰ゆることが....
鮪を食う話」より 著者:北大路魯山人
よりわるい。とうてい美食家の口には問題にならぬ代物である。しかし、まぐろの少ない時季には、三流どころの刺身として盛んに用いられている。ところが、この鬢長君も世に....
明石鯛に優る朝鮮の鯛」より 著者:北大路魯山人
れた。 私は昭和三年、朝鮮へ古窯跡の探査と、陶器原料の蒐集の目的で渡った。その時季がちょうど五月一日から三十日までであった。行程は朝鮮半島の京城から以東をおよ....