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時鐘
「時鐘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時鐘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
い寂莫《せきばく》の中に、船の舳《へさき》のほうで氷をたたき破《わ》るような寒い
時鐘《ときがね》の音が聞こえた。「カンカン、カンカン、カーン」……。葉子は何時《....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
を残すのみになってしまった。それにつれて、祈祷の告知だった美しい鐘声も古めかしい
時鐘となってしまい、かぼそい喜捨を乞い歩く老ラザレフの姿を、時折り街頭に見掛ける....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
としても有効に使用される。「モロッコ」における太鼓とラッパ、「青い天使」における
時鐘の音などがそれである。このあとの映画で、不幸なるラート教授が陋巷の闇を縫うて....
「地球要塞」より 著者:海野十三
びすじ》を掠《かす》めていく。 かん、かん。かん、かん。 軍艦と同じように、
時鐘が、冴々《さえざえ》と響きわたる。 (もう五時だ!) オルガ姫が、つかつか....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、暗夜の南シナ海を航行してゆく。 もう夜はかなりふけていて、さっき午後十一時の
時鐘が鳴りひびいた。 非番の水兵たちは、梁につりわたしたハンモックの中に、ぐっ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の持ち寄る、世界のあらゆる隠れた隅々の物語に、星がまたたき、潮ざいが船をつつみ、
時鐘が鳴りわたって、ときのうつるのを忘れる。 翌日。 ちょっと諾威のホルテン....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
は、まだ何事をも思い浮べることも、思いめぐらすこともしようとはしません。 その
時鐘が一つ鳴りました。その鐘の音が、お雪ちゃんのうっとりした心を、よびさますと、....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
句である。 〔第四篇 柵壁〕 五七 三点鐘。――船では、定刻を報ずるに、零時半に
時鐘を一点打ち、二時に二点打ち、以下半時間毎に一点ずつ加えて打ち、八点に至ると、....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
は、経験しない人には、いくら説明してもわかるまい。 船内に、時を知らせる夜半の
時鐘が、八つ、かかん、かかん、とうち鳴らされた。この八点鐘が鳴りおわって、二十日....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
事実として、得とくとして物語ったのであった。 彼の曰く―― 「僕は夜半直の四点
時鐘ごろ(当直時間は四時間ずつにして、ベルは三十分毎に一つずつ増加して打つのであ....
「朱欒の花のさく頃」より 著者:杉田久女
ていた。 先年大阪でひらかれた関西俳句大会の翌日、飛鳥川をわたり、橘寺へ行った
時鐘楼の簷にかけてあった美しい橘の実の幾聯も、橘のかげをふみつつ往来し、或は時じ....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
うれしい……あたし、もう、ひとりじゃないんだわ」 そのとき、聖路加病院の十時の
時鐘が鳴った。シヅは、はっとしたように胸に手をあてた。 「あんたも、忙しくなるわ....
「地上」より 著者:島田清次郎
人はいかなる時においても質素を旨として、……」と続けるのであった。彼が待ち遠しい
時鐘の音に教室のドアを出たとき、あの微笑を洩したとき感じた平一郎に対する静かに有....
「西航日録」より 著者:井上円了
実に建築の広壮なる、庭園の広闊なる、大学をしのぐの勢いあり。余のこの校に至るや、
時鐘昼食を報ずるに会し、校長の案内に応じ食堂に入れば、数十の教員と数百の生徒、一....
「或る少女の死まで」より 著者:室生犀星
あった。ことに寺の多い谷中のこととて、晩方、涼しい風に送られてよく上野の寛永寺の
時鐘がきこえた。しずかな夕方など、都会の騒音にまぎれない、しめやかさをふくんだ音....