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時風
「時風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
す。
わたしは昨日《きのう》の午《ひる》少し過ぎ、あの夫婦に出会いました。その
時風の吹いた拍子《ひょうし》に、牟子《むし》の垂絹《たれぎぬ》が上ったものですか....
「風の又三郎」より 著者:宮沢賢治
をうしろへ組むと向こう側の土手のほうへ職員室の前を通って歩きだしました。 その
時風がざあっと吹いて来て土手の草はざわざわ波になり、運動場のまん中でさあっと塵《....
「おきなぐさ」より 著者:宮沢賢治
」 西の方の遠くの空でさっきまで一生けん命《めい》啼《な》いていたひばりがこの
時風に流《なが》されて羽《はね》を変《へん》にかしげながら二人のそばに降《お》り....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
と三田村技手はひどく困ったふうで、 「……ちょうど去年の今ごろのことでしたが、当
時風間さんの宅に、しばらく厄介になっていた或る貨物船の機関士と、いい仲になって、....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
て懐中していた薬にはいろいろ種類があつたと考えるんだ。もし、初江が偶然にも、あの
時風呂にはいらなかつたら、林田は第一の事件の如く今云つたような電話を利用して、初....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ぼけ眼《まなこ》のおかみさん、おどろいた犬、猫まで飛び出して、長屋はにわかに非常
時風景だ。 寝入りばなを石金の濁声《だみごえ》に起こされて、一同、何が何やらわ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
く、加賀の某郡の下衆《げす》七人一党として兵仗を具えて海に出で釣りを事とす、ある
時風に遭《お》うて苦しむと遥かに大きな島ありて、人がわざと引き寄するようにその島....
「ひのきとひなげし」より 著者:宮沢賢治
よ。ここは、セントジョバンニ様のお庭だからな。」ひのきが高く叫びました。 その
時風がザァッとやって来ました。ひのきが高く叫びました。 「こうらにせ医者。まてっ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
見て、其の器を面白いと感じ、それを花生《はないけ》にして水仙の花を生け、これも当
時風雅を以て鳴って居た古田織部に与えたという談が伝わっている。織部は今に織部流の....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
があったとしたら、何人によらず之ほど国を誤るものはないのである。 処でこの非常
時風景を世間では漫然とファシズムという名で呼んでいるが、この名のつけ方は不正確で....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
こっちをほっつき廻り、ようやく目的の刑部屋敷の、露路の口まで来たのであった。その
時風采堂々とした、松平碩寿翁に逢ったのである。顛倒している眼から見れば、刑部屋敷....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
就いて何の知識もなかった居士はふと思い立って碁の独り研究を始めたのであった。ある
時風が吹いたために折角並べた石が紙と共に飛んでしまって何もなくなってしまったとい....
「梅雨晴」より 著者:永井荷風
の方へと引摺《ひきず》り上げるまで番頭はだまって知らぬ顔をしている。引摺り上げる
時風呂敷の間から、その結目《むすびめ》を解くにも及ばず、書物が五、六冊畳の上へく....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
博奕が始まっていたからである。たしか花街の神崎あたりで、どやどや割りこんで来た今
時風な若雑人の一と組なのだ。初めのほどは、酒を酌みつつ、わざとらしい猥談を放って....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
みもしなかった。上野ばかりでなく、僧院に、男か女かわからない者が出入りするのは、
時風の当然で、ふしぎはない。 ここは、しいんと、冷やッこい。うす暗い中庭を抱い....