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「晦渋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

晦渋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虚構の春」より 著者:太宰治
《ほおかぶ》りもよせ。この世の中に生きて行くためには。ところで、めくら草紙だが、晦渋《かいじゅう》ではあるけれども、一つの頂点、傑作の相貌を具えていた。君は、以....
人間失格」より 著者:太宰治
ら、そのために働いて、めしを食べなければならぬ、という言葉ほど自分にとって難解で晦渋《かいじゅう》で、そうして脅迫めいた響きを感じさせる言葉は、無かったのです。....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
。吾輩ひそかに思うにこの状態は決して胎毒や疱瘡のためではない。彼の眼玉がかように晦渋溷濁《かいじゅうこんだく》の悲境に彷徨《ほうこう》しているのは、とりも直さず....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
アテンに在住していた哲学者らは、狂信的な多数者の迫害を避けるために、自分の所説に晦渋の衣を覆っていたものらしい。 エムペドクレスとアナキサゴラスの次にデモクリ....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
しかしルクレチウスは彼の知れる限りを記述するに当たって、意識的にことさらに言語を晦渋にしているものとは思われない。少なくとも訳文を見ただけではそうは思われない。....
科学と文学」より 著者:寺田寅彦
むべきことである。 文章と科学 「甲某の論文は内容はいいが文章が下手で晦渋でよくわからない」というような批評を耳にすることがしばしばある。はたしてそう....
詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
うろう》とし、意識の漠然たる謎《なぞ》で充たされていた。彼等は強《し》いて詩語を晦渋《かいじゅう》し、意味を不分明の中に失わせて、自ら象徴だと信じていた。けだし....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は強直が同時でないと、屍体の合掌を説明する方法が全く尽きてしまうのだ」 熊城は晦渋な霧のようなものに打たれて沈黙したが、検事は懐疑的な眼を見据えて、 「それで....
鏡花氏の文章」より 著者:中島敦
ついてもいえると私は考える。鏡花世界なる秘境に到達するためには先ず、その「表現の晦渋」という難関を突破しなければならない。これを通過しなければ、鏡花世界なる別乾....
レンブラントの国」より 著者:野上豊一郎
になった国であることを考えると、その美術がロマンティクな奔放に飛躍せず、神秘的な晦渋に偏せず、情緒的な滲泄を見せないのもむしろ当然であり、どこまでも堅実な写実主....
探偵小説の芸術性」より 著者:中井正一
靱性はこの深い憂欝の白冥を通っていると思われる。彼らの截断性は、かの思索の凝滞と晦渋を貫いてであると思われる。自分が醜いということすらが悪寒のごとき修飾であるこ....
「黒死館殺人事件」序」より 著者:甲賀三郎
戸川君が一流の粘り気のある名文で妖異の世界に引込んで行くのに反し、小栗君はむしろ晦渋と思われる一流の迫力のある文章で、妖異の世界に引込んで行く。江戸川君のものを....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
いことを refuse できないような友情はいやですからね。 私はこの頃生活が晦渋してはかどりかねているかたちです、どうも私の起こす感情には affectio....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
《かつら》と衣裳とのために身体の自由を失ひたるものの如く、台詞《せりふ》の音声は晦渋《かいじゅう》にして変化に乏しきこと宛《さながら》僧侶《そうりょ》の読経《ど....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
ひっかかることをしてはなりません。私が卑近な平易な句作法をお話しいたしたことは、晦渋な迂遠な俳論をして諸君を一夜作りの大家にするよりも、諸君の良友をもって自らを....