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「晩方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

晩方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
ょう》も朝から一日|奔走《かけある》いたので、すっかり憊《くたび》れてしまって、晩方|一風呂《ひとっぷろ》入《はい》ったところが、暑くて寝られんから、ぶらぶら納....
婦系図」より 著者:泉鏡花
念を入れて、やがて諾と云わせて、 「ああ、昨日も一昨日も、合歓の花の下へ来ては、晩方|寂しそうに帰ったわねえ。」 十六 さて湯へ入る時、はじめて....
海異記」より 著者:泉鏡花
上つき、 「姉さん、稲葉丸は今日さ日帰りだっぺいか。」 「ああ、内でもね。今日は晩方までに帰るって出かけたがね、お聞きよ、三ちゃん、」 とそわそわするのを圧え....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
七 「仰向様に、火のような息を吹いて、身体から染出します、酒が砂へ露を打つ。晩方の涼しさにも、蚊や蠅が寄って来る。 奴は、打っても、叩いても、起ることでは....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ンも分りません。この間まで居りました、山田の新町の姉さんが、朝と昼と、手隙な時は晩方も、日に三度ずつも、あの噛んで含めて、胸を割って刻込むように教えて下すったん....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
けたじゃありませんか。惜まれる娘は違うわね。 ぐっと取詰めて、気が違った日は、晩方、髪結さんが来て、鏡台に向っていた時ですって。夏の事でね、庭に紫陽花が咲いて....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
くなって、凧の影をどこまでも追掛けた、その時から、行方知れず。 五日目のおなじ晩方に、骨ばかりの凧を提げて、やっぱり鳥居際にぼんやりと立っていた。天狗に攫われ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、ゆうべおいでなさいました時、「たそがれ。――いいのね。」とおっしゃいます。……晩方でございましょう。変に暗くて気味が悪し、心細し、といいますうちにも、立込みま....
縁結び」より 著者:泉鏡花
う評判でね、風の便りに聞くと、その養子は気が違ってしまったそうだよ。 その後、晩方の事だった。私はまた例の百人一首を持出して、おなじ処を開けて腹這いで見ていた....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
道中も余所とは違って、あの、長良川、揖斐川、木曾川の、どんよりと三条並んだ上を、晩方通ったが、水が油のようだから、汽車の音もしないまでに、鵲の橋を辷って銀河を渡....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
る時は、この別荘の前なんか、岩を飛んで渡られますがね、この節の月じゃどうですか、晩方干ないかも知れません。」 「船はありますか。」 「そうですね、渡船ッて別にあ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
引張込んで雲井を吹かす、酒を飲む、骨牌を弄ぶ、爪弾を遣る、洗髪の意気な半纏着で、晩方からふいと家を出ては帰らないという風。 滝太郎の祖父は母親には継父であった....
化鳥」より 著者:泉鏡花
け。 初卯の日、母様が腰元を二人連れて、市の卯辰の方の天神様へお参んなすって、晩方帰っていらっしゃった。ちょうど川向うの、いま猿の居る処で、堤防の上のあの柳の....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ために、豆腐屋油屋など、荷のある輩は通行をしない位であるが、今日は日曜故か、もう晩方であるためか、内も外も人少なげに森として、土塀の屋根、樹の蔭などには、二ツ三....
活人形」より 著者:泉鏡花
りました。「怪談は暗がりに限るよ。「ええ! 仕方がありません。先月の半ば頃|一日晩方の事……」 この時座敷|寂として由井が浜風陰々たり。障子の桟も見えずなり、....