晩景[語句情報] »
晩景
「晩景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
晩景の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
にて、その技芸は容色と相称《あいかな》いて、市中の人気山のごとし。されば他はみな
晩景の開場なるにかかわらず、これのみひとり昼夜二回の興行ともに、その大入りは永当....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
それも一刻《いっとき》や二刻の短い時間ではないので、品川浜の海波にほのぼのとして
晩景の迫ってきた時分まで、ぐっすり眠りつづけていたようでしたが、と――ようやく起....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
のほうへ参向いたし、何かと協議を遂げて、お組屋敷へ引きさがったのは、かれこれもう
晩景に近い刻限でした。 ところが、帰ってみると、火もつけないで暗い奥のへやに、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
をととのえてしまうと、風のようにすうと音もなく表へ出ていきました。刻限はちょうど
晩景の六つ下がりどきで、ぬんめりとやわらかく小鬢《こびん》をかすめる春の風は、ま....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
平元康、後の徳川家康である。元康は五月十九日の朝、丸根を陥した後大高に居ったが、
晩景になって義元の敗報が達した。諸士退軍をすすめたが、元康|若し義元生きて居たら....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
っても切れぬ周囲の中に、穏に死なれる事が何故出来なかったでしょうか? 何故其生の
晩景になって、あわれなひとり者の死に様をする為に其温かな巣からさまよい出られねば....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の姿を見て、ちょっと驚いたふうで、やがて丁寧《ていねい》に頭を下げて、 「静かな
晩景《ばんげ》でござりやす」 竜之助はやり過ごした旅人を見送っていたが、 「少....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あ、どうしてだ」 「高尾の山には天狗様がいるという話だが、おれは、三年ばかり前の
晩景《ばんげ》、この通りでその天狗様にでっくわしてしまった。なあに、鼻も高くはな....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
を治した名医、且つ近頃三由屋が、株式で伊勢の津に設立した、銀行の株主であるから。
晩景、留守を預るこの老番頭にあてて、津に出張中の主人から、里見氏の令夫人参宮あり....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
持である。この歌は結句で、「この夕かも」と名詞に「かも」をつづけているが、これも
晩景を主としたいい方で、この歌の場合やはり動かぬものかも知れない。「つるばみの解....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
すぎる。そして朝からどんよりしていた空が午後はいよいよ暗くなって小雨が降り出し、
晩景にはちょっと雲切がして夕日が射す。不定な気象がそんな調子でぐずついている。 ....
「地上」より 著者:島田清次郎
蔵の横の廊下を通るとき米子が「美しいお嬢さまね」と言った。戸外は薄暗くてうそ寒い
晩景に軒並の電燈が輝いていた。 「平一郎さん」その声は涙を含んでいた。彼は縋りつ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
、じゃんも、音を潜めただからね――橋をこっちへ、はい、あばよと、……ははは、――
晩景から、また一稼ぎ、みっちりと稼げるだが、今日の飲代にさえありつけば、この上の....
「十日の菊」より 著者:永井荷風
はやがて女中に会計なるものを命じて、倶《とも》に陶然として鰻屋の二階を下りると、
晩景から電車の通らない築地の街は、見渡すかぎり真白《まっしろ》で、二人のさしかざ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
これを動かす。その数三百艘ありという。一奇観なり。船中より市街を側観して、野外の
晩景を迎う。高塔の丘上または岸頭に屹立するもの数基あり。行くことようやく遠くして....