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景趣
「景趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
景趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、広重《ひろしげ》北斎がこの時代に存生していたにしても、とうていこのすがすがしい
景趣ふぜいは描破できまいと思われるほどの涼しさでした。 かかるところへ、わけて....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
来た。鼬の町井さんも、梅の花も、支那水仙も、雑煮《ぞうに》も、――あらゆる尋常の
景趣はことごとく消えたのに、ただ当時の自分と今の自分との対照だけがはっきりと残るためだろうか。....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
、お袴をおぬぎなさったら、などと大騒ぎになったのも無理からぬほど、まばゆく見事な
景趣ではあったが、大尽は物憂そうな顔して溜息をつき、都にも美人は少く候、と呟く。....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
今も存するは、江戸ッ児にとってこの上もない僥倖なのである。 風鈴と釣忍 夏の
景趣を恣にして江戸ッ児の雅懐をやるもの風鈴と釣忍またその一つか。 彼の、午後の....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
れかといって、この一、二の巨木をきり倒してしまう必要は全然ない。これも我が庭園の
景趣を添える上に欠くべからざる樹木なのだから、庭全体の眺めのよいように適当に鋏を....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
何か賑やかに話しているけれど、私は窓硝子へ吸いつくばかりにして、めぐりゆくそとの
景趣に眺めいったのである。 この秋は、陽気が遲れていた。いつもならば十一月のな....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
ん》な詩情を帯びてる。 水鳥や朝飯早き小家《こいえ》がち 川沿いの町によく見る
景趣である。 水鳥や舟に菜を洗ふ女あり と共に、蕪村の好んで描く水彩画風の
景趣....
「北穂天狗の思い出」より 著者:上村松園
の山間渓間にはまだ残雪が深く、おくれ咲きの山桜や山吹とともに何ともいわれぬ残春の
景趣を横溢させている。山の声は甲高い馬子や一行の話声と小鳥のやさしい語らいと、時....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
いない勘定になる。それじゃ、もう一息で追いつけるだろう」 と、お十夜の語気は、
景趣の変化につれて旅らしい軽快をもってきたが、周馬は、いっこう面白くない顔で、ど....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、有明の海が、はるかに見えた。 この辺りの、渓村や小さな滝津瀬などは、なかなか
景趣に富み、肥後の小耶馬渓などともよばれている。旅客は、小さい枝付きの蜜柑などを....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
郎花に似た黄色い草花の目ざましさは。私はまた佇ち停って、これらの初めてみる樺太の
景趣に目を円くした。 それは燃え立つような細い赤い実のつやつやとむらがった名も....