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「暑気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暑気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
れ渡っていた空は、午後から曇り始めて、まっ白な雲が太陽の面をなでて通るたびごとに暑気は薄れて、空いちめんが灰色にかき曇るころには、膚寒く思うほどに初秋の気候は激....
或る女」より 著者:有島武郎
て、荷物のない物置き部屋《べや》のような貧しい一室のすみっこに、夜具にくるまって暑気に蒸されながらくずれかけた五体をたよりなく横たえねばならぬのだ。それは葉子に....
デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
てはユトランドの夏は昼は非常に暑くして、夜はときに霜を見ました。四六時中に熱帯の暑気と初冬の霜を見ることでありますれば、植生は堪《たま》ったものでありません。そ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い地弾きが歌女代に同情して、そっと買薬などしてやっていたが、その年の土用の激しい暑気がいよいよ歌女代の弱った身体をしいたげて、彼女はもう骸骨のように痩せ衰えてし....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
星と火星の会合、次には獅子座で太陽と木星の会合があったが、この年の夏は珍しいほど暑気の劇烈な夏であった。また一五六三年に、土星と木星とが獅子座において、しかも蟹....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
物なり。 ◯蒼鷺幽鬼雄の第二作「血染の昇降機」を書き始める。 八月五日 ◯漸く暑気回復せんとす。われ順調なり。 ◯昨夜の夢、椎茸飯、長野先生の授業にサボして口....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
青蘆の洲はところどころ弱々しく戦いている。ほんの局部的な風である。大たい鬱結した暑気の天地だ。荒川放水路が北方から東南へ向けまず二筋になり、葛西川橋の下から一本....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の僧が水のなかを泳ぎまわっていた。 「これは玄陰池といい、わが徒はここに水浴して暑気を凌ぐのでござる」 僧はこう説明して、彼を案内した。石はそのあとに付いて池....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
そよそよと枕元へ流れ込んで来る。 病気から例の神経衰弱を誘い出したのと、連日の暑気と、朝から晩まで寝て暮らしているのとで、毎晩どうも安らかに眠られない。今夜は....
慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
聞の原稿を書く。きょうは坐っていても汗が出る。陰りて蒸し暑く、当夏に入りて第一の暑気かも知れず。田島さんは忙がしそうに原稿を書き終りて、夕方の汽車で宇都宮へ帰る....
廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
一 六月末の新聞にこんな記事が発見された。今年は暑気が強く、悪疫が流行する。これを予防するには、家ごとに赤飯を炊いて食えと言い出....
愚かな男の話」より 著者:岡本かの子
二三日がかりで庖丁ばかり研ぎにかかった。 かくて、庖丁の刃金は研ぎ減り、駱駝は暑気に腐ってしまった」 ○ 「やはり愚な男があった。腹が減っていた....
活人形」より 著者:泉鏡花
して、下枝等を救わむと、行李そこそこかの地を旅立ち、一昨日この地に着きましたが、暑気に中りて昨日一日、旅店に病みて枕もあがらず。今朝はちと快気なるに、警察を尋ね....
西航日録」より 著者:井上円了
陸に沿って南進し、二十六日台湾海峡に入る。終日曇晴、風波やや高し。二十七日快晴、暑気にわかに加わる。一昨日まで毎室暖炉を待ちしも、今日より食後、アイスクリームを....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ニラ行の一等船客多数に入乗せるをもって、船中盛況を現す。 十五日、晴れ。暁来、暑気大いに加わる。風静かに波穏やかなるも、シナ海のひろき、終日一物の目に触るるな....