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暖まる
「暖まる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暖まるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
の所にたくし上げて、軽い咳《せき》を二つ三つした。冷えきった空気が障子の所で少し
暖まるのだろう、かの一匹の蝿はそこで静かに動いていた。黄色く光る障子を背景にして....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
べんちゃらをいう。惣次郎の顔があるから富さん/\と大事にする。段々|臀《しり》が
暖まると増長して、素《もと》より好きな酒だから幾ら止《や》めろといっても外《そと....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
垢じみた床の中にそのままもぐり込みながら、氷のような布団の冷たさがからだの温みで
暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、憐れみとも愛ともつかぬ涙ぐま....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
来て腰掛けた。そこに笠を置いて、半蔵が勧める別れの茶を飲んだ。 文字どおり席の
暖まるに暇のないような香蔵は、師のあとを追うのに急で、地方の問屋廃止なぞを問題と....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
贈られた家宝の軸――一切それらのものの引き渡しの時も迫った。ほとほと半蔵には席の
暖まるいとまもない。彼は店座敷の障子のわきにある自分の旧い桐の机の前にすわって見....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
その徳利はオランダからの渡り物だといって、対山が自慢の道具の一つだった。 酒が
暖まると、対山は薬味箪笥の抽斗から、珍らしい肴を一つびとつ取り出して卓子に並べた....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
ばならぬ。 十二月二十九日 朝晩はかなり冷たいので、ストーブにまきをくすべて
暖まる。きのう迄、部屋がいけなかったので、少し落付きが悪かったが、いい部屋とかわ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
法、嫌われぬ法も一所ですな、愛嬌のお守という条目。無銭で米の買える法、火なくして
暖まる法、飲まずに酔う法、歩行かずに道中する法、天に昇る法、色を白くする法、婦の....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
のは、冬になると、醤油を飲まなければならなかったことだそうだ。醤油を飲むと身体が
暖まるのだという。それで、裸体で舞台へ出るには、必ず醤油を飲まされる。これには降....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ろの可愛い巻毛が見えるだけだ。どちらもいい気持でじっとそうしている。水でからだが
暖まる。その水は誰も取換えたりはしない。ただ暴風雨の日にひとりでに新しくなるだけ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
左利き――それが、ギリギリ結着というところだ。早く犯人を挙げて、暮にはたんまりと
暖まるさ」 そう云って、莨を取り出し、燐寸を摺ったその手を見たとき、巡査は頭か....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
た大|摺鉢の中点にあるようだから、風は当らない、その上絶えず焚く焔で、石の天椽は
暖まる、南方に大残雪を控えているにもかかわらず、至極暖かだ。雨はやみ、風は起らず....
「黒い旗物語」より 著者:小川未明
くこちらにきかかりますと、そこには食べ物屋があって、おいしそうな魚の臭いや、酒の
暖まる香いなどがもれてきました。子供は其店の前に立ちました。そして戸を開けてのぞ....
「雨夜続志」より 著者:田中貢太郎
へ往ったり、南清で植民会社を創立したり、その当時の不遇政客の轍を踏んで南船北馬席
暖まる遑なしと云う有様であったが、そのうちにばったり消息が無くなって、一二年|前....
「世間師」より 著者:小栗風葉
それはまだ我慢もできるとして、どうにもこうにも我慢のできないのは、少し寝床の中が
暖まるとともに、蚤だか虱だか、ザワザワザワザワと体じゅうを刺し廻るのだ。私が体ば....