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暖気
「暖気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暖気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
ないながらも、背中がぞくぞくと寒くなるのじゃ」 そういった轟博士の顔色は、この
暖気のなかに、まるで氷倉から出てきた人のように青ざめた。 不可解なる謎を秘めた....
「渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
をコツコツ叩いた。 「|今晩は《ズラシテ》。」 屋内ではペーチカを焚《た》き、
暖気が充ちている。その気はいが、扉の外から既に感じられた。 「今晩は。」 「どう....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いに忙がしかった。午過ぎには師匠の声はもう嗄れてしまった。 俄か天気の三月末の
暖気は急にのぼって、若い踊り子たちの顔を美しく塗った白粉は、滲み出る汗のしずくで....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
に突立っていた。 3 扉を押して入ると、ムッと噎せかえるような生臭い
暖気が、真正面から帆村の鼻を押えた。 小劇場の舞台ほどもある広い檻の中には、頑....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
にあって、その側には、動物小屋と鳥禽舎とが列んでいた。扉を開くと、噎とするような
暖気が襲ってきて、それは熱に熟れた、様々な花粉の香りが――妙に官能を唆るような、....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
。 三十 さて二の午も済みまして、二月の末になりまして、大きに
暖気に相成りました。御舎弟紋之丞様は大した御病気ではないが、如何にも癇が昂ぶって....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
どうかということが分るようになりました。」 勝手口にある山椒の若芽が、この頃の
暖気で、めっきり寸を伸ばした。枝に手をかけて軽くゆすぶって見ると、この木特有の強....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
うと思った。 宿直の人に挨拶をして、外へ出た。北海道にめずらしいベタベタした「
暖気雪」が降っていた。出口にちょっと立ち止まって、手袋をはきながら、龍介は自分が....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ヨリ此処ヲ封戸ニ加へ賜ハリテ悦バセ給ヘル歟。蕨ノ根ニ隠リテカヾマリヲレルガ、春ノ
暖気ヲ得テ萌出ルハ、実ニ悦コバシキ譬ナリ。御子白壁王不意ニ高|御座ニ昇ラセ給ヒテ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
車窓へ吹きつけて来た。車内の乗客は玻璃窓を閉じ鎧戸までも堅く下ろして、スチームの
暖気を喜びながら賑やかにお喋舌りをつづけていた。するとそのうち人々は次第に談話を....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
人心はその面のごとく異なる。少年連盟におそるべき事件が勃発した。 分裂
暖気がにわかにまわって湖水の氷が一時にとけはじめた。島に二年目の春がおとずれたの....
「おせっかい夫人」より 著者:岡本かの子
午前十一時半から十二時ちょっと過ぎまでの出来事です。うらうらと晴れた春の日の
暖気に誘われて花子夫人は三時間も前に主人を送り出した門前へまたも出て見ました。糸....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
一通りでない。早速羊を石に括り付けて自分はまた自分の手で出来るだけ身体を摩擦して
暖気を取りました。で一時間ばかりもそんな事をして費やしたですがその川の広さはちょ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の石炭を八時間にて積了せり。その迅速なること、外人の目を驚かす。 六日、晴れ。
暖気ようやく加わり、春天の融和を見る。筑山・壱州に応接して、午後四時、長崎に入港....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
どんな気持ち」と言いました。すると僧は、顔色一つ動かさず、「枯木寒巌に倚る、三冬
暖気無し」と言い放ちました。「まるで枯木が冷え切った岩に倚りかかったようなものさ....