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暗中
「暗中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暗中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海異記」より 著者:泉鏡花
いわず、唇の色が褪せていた。 「苫を上げて、ぼやりと光って、こんの兄哥の形がな、
暗中へ出さしった。 おれに貸せ、奴寝ろい。なるほどうっとうしく憑きやあがるッて....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
。二階は真暗であった。ムンと若い女の体臭が鼻をつく。 「キミちゃん居るかい」彼は
暗中に声をかけた。 「ああ、ムーさんだわね、向うから二番目に、キミちゃん、まだ寝....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
下りるや、颯と廻廊を突切る。途端に、五個の燈籠|斉しく消ゆ。廻廊暗し。美女、その
暗中に消ゆ一舞台の上段のみ、やや明く残る。) 公子 おい、その姿見の蔽を取れ。陸....
「火星兵団」より 著者:海野十三
…」
博士の返事は、先生の考えていた通りであった。
二人が、話をしている時、
暗中で、五つの赤い電球が、しきりについたり消えたりしはじめた。すると博士は、あわ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
カミを逃がすな。撃て!」 逆上したか、スミス中尉が叫んだ。 銃声がつづいた。
暗中に、銃口から吐きだされる錆色の焔。 うわーっと、奥の方でうめいた者がある。....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
めして、―― 「御坊様。」 今は疑うべき心も失せて、御坊様、と呼びつつ、紫玉が
暗中を透して、声する方に、縋るように寄ると思うと、 「燈を消せ。」 と、蕭びた....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
。」 「老人の夥間ですよ。」 社の裏を連立って、眉目俊秀な青年二人、姿も対に、
暗中から出たのであった。 「では、やっぱりお狂言の?……」 「いや、能楽の方です....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
面影を一見して、思わず悚然としたまわんか。トタンに件の幽霊は行燈の火を吹消して、
暗中を走る跫音、遠く、遠く、遠くなりつつ、長き廊下の尽頭に至りて、そのままハタと....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
店先で小児の声、繰返して、 「おくんな。」 「おい。」 「静に………」といって、
暗中の客は寝転んだ様子である。 二十 婆が帰った後、縁側に身を開....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の好奇的|穿鑿を求めない。霊界の神学は飽までも単純で知識的である。われ等は単なる
暗中摸索を尊重しない。われ等は宗派的論争には興味を有たない。何となれば、そはただ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
驚かなくっちゃあ。……いきなり、お能の舞台から墓所じゃアありませんか。そこへ私が
暗中に出たんだもの。」 「何だか来そうな気がしていた処だからね。」 「ええ、私も....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
かつてその形体を見しことなく、あたかも無形的死霊あるいは生霊のごときものありて、
暗中になすもののごとし。ただし、その怪声が予言もしくは察心をなすは、別に大いなる....
「妖怪学」より 著者:井上円了
、いささかその理由を弁明したるのみ。 つぎに、夢中の不思議ととなうるものは偶合
暗中の一事なり。例えば、百里以外のことを夢中に見、十年以後のことを夢中に知るの類....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、おッつけ救い得させむずと、漫に憐を催しぬ。談話途切れて宿の亭主は、一服吸わんと
暗中を、手探りに、煙管を捜して、「おや、変だ。ここに置いた煙管が見えぬ。あれ、魔....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
の如く、綸の弾力部を全く引き尽して、また余力を存せず、屡、奇声を発す。されども、
暗中ながら、綸を紊すことも無く、力に従いて相闘いしかば、三十分許りの後には、船頭....