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「暗愁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暗愁の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
きりさめ》のかなたさえ見とおせそうに目がはっきりして、先ほどのおっかぶさるような暗愁は、いつのまにかはかない出来心のしわざとしか考えられなかった。その船員は傍若....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
ているが、この他国の町は早や自分を拒んでいる。―― それが現実であるかのような暗愁が彼の心を翳《かげ》っていった。またそんな記憶がかつての自分にあったような、....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
い膜が君と自然との間を隔てはじめた。 君は思わずため息をついた。言い解きがたい暗愁――それは若い人が恋人を思う時に、その恋が幸福であるにもかかわらず、胸の奥に....
画の悲み」より 著者:国木田独歩
深入りし、等しく自然に対しても以前の心には全く趣を変えていたのである。言いがたき暗愁は暫時も自分を安めない。 時は夏の最中自分はただ画板を提げたというばかり、....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
天赴長春汽車中作 万里平原南満洲 風光潤遠一天秋 当年戦跡留余憤 更使行人牽暗愁 「日露の親和がこの汽車中にはじまり、汽車の前進するがごとくますます進展せん....
富岡先生」より 著者:国木田独歩
為ない。平常のように平気の顔で五六人の教師の上に立ち数百の児童を導びいていたが、暗愁の影は何処となく彼に伴うている。 二 富岡先生が突然上京し....
障子の落書」より 著者:寺田寅彦
ら両手を拡げている。何という罪のない絵だろうとしばらく眺めていたが、名状の出来ぬ暗愁が胸にこみあげて来て、外套のかくしに入れたままの拳を握りしめて強く下唇をかん....
良夜」より 著者:饗庭篁村
」と言うまでは勇気ありしが、この暇乞の語を出し終りたる後は胸一杯、言うべからざる暗愁を醸し生じたり。自ら呼吸を強くし力足を踏み、町はずれまで送りし人々の影を見か....
放浪作家の冒険」より 著者:西尾正
がたや、点々とちらばる対岸の灯、前後に架せられたあまたある橋のあかりが、青黒い、暗愁の、ものうげにゆれている河面にゆめのような華彩の影をおとし、いまやS河は、奇....