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暗闇
「暗闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暗闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
容子を窺《うかが》っている彼自身を発見した。寝室の外の廊下には、息のつまるような
暗闇が、一面にあたりを封じていた。その中《うち》にただ一点、かすかな明りが見える....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
こからか厳かに伝わって来た。
「私《わたし》がここに隠《こも》っていれば、世界は
暗闇になった筈ではないか? それを神々は楽しそうに、笑い興じていると見える。」
....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
と、声はもう一度お蓮を捉《とら》えた。彼女はそこへ立ち止りながら、茶の間《ま》の
暗闇を透かして見た。
「誰だい?」
「私。私だ。私。」
声は彼女と仲が好《よ》....
「或る女」より 著者:有島武郎
がて子供のようにすやすやと安らかないびきが葉子の口びるからもれて来た。
倉地は
暗闇《くらやみ》の中で長い間まんじりともせず大きな目を開いていたが、やがて、
「....
「或る女」より 著者:有島武郎
暗示になったのか、それとも感覚的な不満が目をさましたのかわからなかった――葉子は
暗闇《くらやみ》の中に目を開いた。あらしのために電線に故障ができたと見えて、眠る....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
中にはどんな野獣が潜んでいるかも知れないような気味悪さがあった。赤坊の泣き続ける
暗闇の中で仁右衛門が馬の背からどすんと重いものを地面に卸《おろ》す音がした。痩馬....
「星座」より 著者:有島武郎
に寝返った。が、それまで眩《まば》ゆい日の光に慣れていた眼は、そこに瞳を痛くする
暗闇を見出だすばかりだった。その
暗闇のある一点に、見つづけていた蝿が小さく金剛石....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
が深い溜息をしていた、 その外にはこの宇宙の渾沌の中に何物もなかった。 そこには
暗闇があった、そして
暗闇に包まれて、 形なき水が、広い世界があった、 真空の中に....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
己れや其の晩妙に瞼が合わ無えで、頭ばかりがんがんとほてって来るんだ。何の事は無え
暗闇と睨めっくらをしながら、窓の向うを見て居ると、不図星が一つ見え出しやがった。....
「橋」より 著者:池谷信三郎
するたびに、クララ・ボウの顔がさっと明るく微笑んだが、暗くなるとまた、むっつりと
暗闇の中で物を想いだした。彼女にはそういうところがあった。シイカには。 彼女は....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いているのでした。『誰人も迎えに来てくれるものはないのかしら……。』私はまるで真
暗闇の底無しの井戸の内部へでも突き落されたように感ずるのでした。 ほとんど気で....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、俺も素町人だ。」 「いえ、そういうわけではござりませんが。――そのお桂様に、(
暗闇の心細さに、提灯を借りましたけれど、盲に何が見えると、帳場で笑いつけて火を貸....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
いて見るも、今日の如く照明の発達した明るい中で演ずるのではなく、江戸時代は全くの
暗闇で芝居しているような有様であったので、昔は面あかりといって長い二間もある柄の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
狽してしまうのだった。 しかし、こういうことも夜だけの恐怖にすぎず、心の迷いで
暗闇に横行する物の怪にすぎなかった。そして、今までに彼は幽霊をたくさん見たことが....
「活人形」より 著者:泉鏡花
きしと合いたる天の賜物、「占めた。」と捻じれば開くにぞ、得たりと内へ忍び入りぬ。
暗闇を歩むに馴れたれば、爪先探りに跫音を立てず。やがて壇階子を探り当て、「これで....