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暫
「暫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
たと思うと、
「御姉様。」
「妹。」と、二人の御姫様は一度に両方から駈けよって、
暫くは互に抱《だ》き合ったまま、うれし涙にくれていらっしゃいました。髪長彦もこの....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
の上から書棚の中へ舞い戻ってしまっていたのです。私は夢からさめたような心もちで、
暫時《ざんじ》は挨拶さえ出来ませんでしたが、その内にさっきミスラ君の言った、「私....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
の襟を正して、専念に経を読んだ。
それが、どのくらいつづいたかわからない。が、
暫くすると、切り燈台の火が、いつの間にか、少しずつ暗くなり出したのに気がついた。....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
を見つめていた。(こいつは、気違いだ。)――やっとこう云う反省が起って来たのは、
暫くの間|※目《とうもく》して、黙っていた後の事である。が、その反省は、すぐにま....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
匂《におい》らしかった。僕はなぜかこの匂を鼻の外にも皮膚の上に感じた。
僕等は
暫《しばら》く浪打ち際に立ち、浪がしらの仄《ほのめ》くのを眺めていた。海はどこを....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
と思ったが、話して見ると、格別、病人らしい容子《ようす》もない。そこで安心して、
暫く世間話をしている中に、偶然、佐渡守が、いつものように前島林右衛門の安否を訊ね....
「運」より 著者:芥川竜之介
だから、私はさっきから、お爺さんの話を聞きたがっているじゃないか。」
二人は、
暫くの間、黙った。青侍は、爪で頤《あご》のひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めて....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
録も変りはない。彼は、ゴルゴタへひかれて行くクリストが、彼の家の戸口に立止って、
暫く息を入れようとした時、無情にも罵詈《ばり》を浴せかけた上で、散々|打擲《ちょ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう、が、それも長いことではない、
暫らくの後には消え失せる代りに今度は頭痛を感じはじめる、――それはいつも同じこと....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
の上に悪事の罰を下してやろうと思っている」 婆さんは呆気にとられたのでしょう。
暫くは何とも答えずに、喘ぐような声ばかり立てていました。が、妙子は婆さんに頓着せ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
眼を伏せて、思わず正直な答をしました。 「そうか。それは可哀そうだな」 老人は
暫く何事か考えているようでしたが、やがて、往来にさしている夕日の光を指さしながら....
「夏目先生と滝田さん」より 著者:芥川竜之介
か四五月頃でしたか、新橋演舞場の廊下で誰か後から僕の名を呼ぶのでふり返って見ても
暫く誰だか分らなかった。あの大きな身体の人が非常に痩せて小さくなって顔にかすかな....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
。 私は抽斗をあけると黄ろく色の変った紙片がうず高く積みあがっているのを見て、
暫時は途方に暮れたが、やがてその中から一枚の紙片をとりあげた。 ああ、もしも諸....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
ないか、此頃あたしゃ、こげえなこと、しよりますやなァ」と、額から鼻、鼻から頤まで
暫くある、名代の顔に、恥い乍らも誇をひそめて、眼を細くし乍ら、長いことにおいては....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
るかに人通りも少ければ「しもた家」も殆ど門並みだった。「椎の木松浦」のあった昔は
暫く問わず、「江戸の横網鶯の鳴く」と北原白秋氏の歌った本所さえ今ではもう「歴史的....