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暫く
「暫く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暫くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
たと思うと、
「御姉様。」
「妹。」と、二人の御姫様は一度に両方から駈けよって、
暫くは互に抱《だ》き合ったまま、うれし涙にくれていらっしゃいました。髪長彦もこの....
「Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
かと思われる。が、それにしては着ている茶の背広が、何となく釣合わない。
僕は、
暫く、この男の方をぬすみ見ながら、小さな杯《さかずき》へついだ、甘い西洋酒を、少....
「貉」より 著者:芥川竜之介
うす》を覗いて見た。が、外はうすい月と浪の音ばかりで、男の姿はどこにもない。娘は
暫くあたりを見廻していたが、突然つめたい春の夜風にでも吹かれたように、頬《ほお》....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
の襟を正して、専念に経を読んだ。
それが、どのくらいつづいたかわからない。が、
暫くすると、切り燈台の火が、いつの間にか、少しずつ暗くなり出したのに気がついた。....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
を見つめていた。(こいつは、気違いだ。)――やっとこう云う反省が起って来たのは、
暫くの間|※目《とうもく》して、黙っていた後の事である。が、その反省は、すぐにま....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
と思ったが、話して見ると、格別、病人らしい容子《ようす》もない。そこで安心して、
暫く世間話をしている中に、偶然、佐渡守が、いつものように前島林右衛門の安否を訊ね....
「運」より 著者:芥川竜之介
だから、私はさっきから、お爺さんの話を聞きたがっているじゃないか。」
二人は、
暫くの間、黙った。青侍は、爪で頤《あご》のひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めて....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
録も変りはない。彼は、ゴルゴタへひかれて行くクリストが、彼の家の戸口に立止って、
暫く息を入れようとした時、無情にも罵詈《ばり》を浴せかけた上で、散々|打擲《ちょ....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
つか同じ枝の上にゆらりと腰をおろしている。二匹の猿は手真似《てまね》をしながら、
暫く何か話しつづける。それから後に来た猿は長い尻っ尾を枝にまきつけ、ぶらりと宙に....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
つは彼自身の頭だった。頭は二つとも噛み合いながら、不思議にも涙を流していた。幻は
暫く漂っていた後、大風の吹き渡る音と一しょに忽ち又空中へ消えてしまった。そのあと....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
の上に悪事の罰を下してやろうと思っている」 婆さんは呆気にとられたのでしょう。
暫くは何とも答えずに、喘ぐような声ばかり立てていました。が、妙子は婆さんに頓着せ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
眼を伏せて、思わず正直な答をしました。 「そうか。それは可哀そうだな」 老人は
暫く何事か考えているようでしたが、やがて、往来にさしている夕日の光を指さしながら....
「夏目先生と滝田さん」より 著者:芥川竜之介
か四五月頃でしたか、新橋演舞場の廊下で誰か後から僕の名を呼ぶのでふり返って見ても
暫く誰だか分らなかった。あの大きな身体の人が非常に痩せて小さくなって顔にかすかな....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
ないか、此頃あたしゃ、こげえなこと、しよりますやなァ」と、額から鼻、鼻から頤まで
暫くある、名代の顔に、恥い乍らも誇をひそめて、眼を細くし乍ら、長いことにおいては....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
るかに人通りも少ければ「しもた家」も殆ど門並みだった。「椎の木松浦」のあった昔は
暫く問わず、「江戸の横網鶯の鳴く」と北原白秋氏の歌った本所さえ今ではもう「歴史的....