»
暮れ
「暮れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暮れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
11
仲店の片側。少年はこの男を見送ったまま、途方《とほう》に
暮れたように佇んでいる。父親の姿はどちらを眺めても、生憎《あいにく》目にははいら....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ともなく思い浮べた。そこには重い舟日覆《ふなひおい》がある。日覆の外の海は、日の
暮れとともに風が出たらしい。舷《ふなべり》をうつ浪《なみ》の音が、まるで油を揺す....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
―――――――――――――――――――――――
翌日《よくじつ》の日曜日の日
暮れである。保吉は下宿の古籐椅子《ふるとういす》の上に悠々と巻煙草へ火を移した。....
「影」より 著者:芥川竜之介
じゃ、爺やもやっぱり臆病なのね。――あら、おしゃべりをしている内に、とうとう日が
暮れてしまった。今夜は旦那《だんな》様が御帰りにならないから、好いようなものだけ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
どもの部屋《へや》に入れられたようにそれだけは不便に思いました。
僕はいつも日
暮れがたになると、この部屋にチャックやバッグを迎え、河童の言葉を習いました。いや....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
とうしゅけい》の軍服を着た、逞《たくま》しい姿を運んで来た。勿論《もちろん》日が
暮れてから、厩橋《うまやばし》向うの本宅を抜けて来る事も稀ではなかった。牧野はも....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
いことがあったとすれば、それはこう言う話だけでしょう。何《なん》でも彼岸前のある
暮れがた、「ふ」の字軒の主人は半之丞と店の前の縁台《えんだい》に話していました。....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
う。
大川の流れを見るごとに、自分は、あの僧院の鐘の音と、鵠《くぐい》の声とに
暮れて行くイタリアの水の都――バルコンにさく薔薇《ばら》も百合《ゆり》も、水底《....
「死後」より 著者:芥川竜之介
ように僕の顔を見上げた。その目はいつも叱《しか》られる時にする、途方《とほう》に
暮れた表情をしていた。
「出ているだろう?」
「ええ。」
「じゃその人はいるんだ....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ぎるのに違いなかった。けれども僕等は上総《かずさ》の海に、――と言うよりもむしろ
暮れかかった夏に未練《みれん》を持っていたのだった。
海には僕等の来た頃《ころ....
「運」より 著者:芥川竜之介
》も、もう提《ひさげ》の水で、泥にまみれた手を洗っている――二人とも、どうやら、
暮れてゆく春の日と、相手の心もちとに、物足りない何ものかを、感じてでもいるような....
「狂女」より 著者:秋田滋
――」 そう云い残して、彼はその部屋をでて行った。 その翌日、老女は、途方に
暮れながらも、どうかして彼女に着物を著せようとした。けれども、狂女は身を※いて泣....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
だ。同じ観念、同じ悦び、同じ諧謔、同じ習慣、同じ信仰、同じ倦怠のうえを、明けても
暮れてもただぐるぐると――。 今夜は霧が深くたち籠めている。霧は並木路をつつん....
「初雪」より 著者:秋田滋
灰色をした枝と枝との間に、黒い動きを見せていた。 来る日も来る日も、彼女は日の
暮れがたになると、その鴉の群を眺めた。そして荒寥たる土地のうえに落ちて来る暗澹た....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
歩あしを踏み入れると、彼等はその広いことと、往来の人の多いことに、しばしは途方に
暮れた。 しかし彼等はこういう人たちのなかに探ねる息子のジャンもいるに違いない....