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「暮れ行く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暮れ行くの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
田舎教師」より 著者:田山花袋
たが、最後に毎日つける日記帳を出して、ペンで書き出した。 三十一日。 今歳もまた暮れ行く。 思ひに思ひ乱れてこの三十四年も暮れ行かんとす。 思ふまじとすれど思は....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
無人境を拓くであろう。汽車はます/\国境の山を上る。尾花に残る日影は消え、蒼々と暮れ行く空に山々の影も没して了うた。余は猶窓に凭って眺める。突然白いものが目の前....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、醒めぎわの現なしにも愛らしき音は何の妨げともならぬぞ嬉しい。 かくてぞ漸くに暮れ行く空の、コバルトの色|黯みて、やがて暗く、かは誰の人顔も定かならぬ折柄、椽....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
えば、内に甜瓜でもありますまいか。――茶店でもない様子――(見廻す。) 片山家の暮れ行く風情、茅屋の低き納戸の障子に灯影映る。 学円 この上、晩飯の御難題は言出....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、自分の乗って来た駕籠の中におっぺし込んでしまいました。 十一暮れ行く海をながめて立つ清澄の茂太郎は、即興の歌をうたいました。 古《いにし》....
東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
功成ったというので、その晩宗祇と肖柏とが、実隆の邸に来り、歌道の清談に耽りつつ、暮れ行く春を惜んだとのことである。この写本が出来てからして、『源氏』の講釈はまた....
見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
は静かにいった。 そして、実際、あの栗売が予言したように、白いものがチラチラと暮れ行く窓硝子に漂った。 「さてフランボー君」とアンガスは口重にいった、「実は僕....
作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
です。卿は狂人であったのです」 高い帽子をいただき鋤を担いだゴーの黒い影法師が暮れ行く空に朧げな外線を劃しながら窓硝子を過ぎて行った。師父ブラウンは熱心にそれ....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
明に見ゆる程光り輝く黄金色でござりました。(と自分の髪の毛にさわる)その髪の毛を暮れ行く薔薇色の夕日に映しておりました。そこは荒れ果てた浜で、髑髏のような石ばか....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
に顕れたが、間もなく沈んでしまうと暗の翼が拡がり始めた。南日君や長次郎達は鼠色に暮れ行く富山平原の中を頻りに物色して、何と何が見えるとか見えないとか、久しいこと....