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暮方
「暮方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暮方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
には鮮かな入日の光が消えて、ただ、石の橋欄《きょうらん》ばかりが、ほのかに青んだ
暮方《くれがた》の空を、黒々と正しく切り抜いている。が、女は未だに来ない。
尾....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ほども申し上げようと、こう思召したのでございましょう。丁度|五月雨《さみだれ》の
暮方でございましたが、童子を一人御伴に御つれになって、傘《おおかさ》をかざしなが....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
がら、そっと子爵の側へ歩を移した。
本多子爵は壮年時代の美貌《びぼう》が、まだ
暮方《くれがた》の光の如く肉の落ちた顔のどこかに、漂《ただよ》っている種類の人で....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
た。ところがある日|葺屋町《ふきやちょう》の芝居小屋などを徘徊《はいかい》して、
暮方宿へ帰って見ると、求馬は遺書を啣《くわ》えたまま、もう火のはいった行燈《あん....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
歳晩《さいばん》のある
暮方、自分は友人の批評家と二人で、所謂《いわゆる》腰弁街道《こしべんかいどう》の....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ぐ》られたのだそうです。すると、米屋の丁稚《でっち》が一人、それを遺恨に思って、
暮方《くれがた》その職人の外へ出る所を待伏せて、いきなり鉤《かぎ》を向うの肩へ打....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
ある日の
暮方の事である。一人の下人《げにん》が、羅生門《らしょうもん》の下で雨やみを待っ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
になった噴き井の水に、まだくるくる廻りながら、流れもせず浮んでいた。
その日の
暮方《くれがた》、若者は例の草山の楡《にれ》の根がたに腰を下して、また素戔嗚に預....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
しばらくの間続いた後で、お敏は涙ぐんだ眼を挙げると、仄《ほの》かに星の光っている
暮方の空を眺めながら、「いっそ私は死んでしまいたい。」と、かすかな声で呟きました....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
ければいいのに。」と云ったら、すぐに「大きなお世話だわ。」とへこまされた。 日
暮方に、南町へ電話をかけて置いて、帰ろうとしたら、清が「今夜|皆で金春館へ行こう....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
た土塀から影を顕わしたと、人を驚かすであろう。 その癖、妙な事は、いま頃の日の
暮方は、その名所の山へ、絡繹として、花見、遊山に出掛けるのが、この前通りの、優し....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て。……田舎源氏、とかにもありますそうです。その時、京の五条とか三条あたりとかの
暮方の、草の垣根に、雪白な花の、あわれに咲いたお話をききましたら、そのいやな入相....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ような。これは寝た時に今も変らぬ、別に怪しい事ではない。二つ目の浜の石屋が方へ、
暮方仏像をあつらえに往った帰りを、厭な、不気味な、忌わしい、婆のあらもの屋の前が....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
「さても胆太き者どもかな」と口々に言う。何事かと聞けば隣長屋に明店ありしに突然|
暮方二人の男来りてその家の建具類を持ち去る、大方家作主の雇いしものならんと人も疑....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
七十の老が、往復六里。……骨董屋は疾に夜遁げをしたとやらで、何の効もなく、日
暮方に帰ったが、町端まで戻ると、余りの暑さと疲労とで、目が眩んで、呼吸が切れそう....