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暮色
「暮色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暮色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
めぐらせて、今度は広くもない洲《す》の上を、あちらこちらと歩きながら、おもむろに
暮色を加えて行く、あたりの静かさに耳を傾けた。
橋の上にはしばらくの間、行人《....
「影」より 著者:芥川竜之介
してまるで誰かの足に、体を摺《す》りつけるような身ぶりをした。が、部屋に拡がった
暮色の中には、その三毛猫の二つの眼が、無気味な燐光《りんこう》を放つほかに、何も....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
はどこからか、大きな絹の手巾《ハンケチ》を出して、つつましく鼻をかみながら、もう
暮色を帯び出した陳列室の中を見廻して、静にまた話を続け始めた。
「もっともこの問....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ね》を積み上げた長沙《ちょうさ》は何か僕には無気味だった。それは次第に迫って来る
暮色の影響に違いなかった。僕は葉巻を銜《くわ》えたまま、何度もあの愛嬌《あいきょ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
らしい山鳥を二三羽肩にかけて、悠々と楡の下まで来ると、しばらく疲れた足を休めて、
暮色の中に横たわっている部落の屋根を見下した。そうして独り唇に幸福な微笑を漂《た....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
、 「――おい、場をきめよう! どうせ短い命だ!」 喧嘩腰のような声になった。
暮色 一 東京や大阪のバラック建ての喫茶店は、だいいち椅子そのものがゴツゴツと....
「第五氷河期」より 著者:海野十三
きであろう。市民たちは、それを聞くと、争って西の空を仰いだ。 すると、ようやく
暮色せまった西空が、火事のように赤く焼けているではないか。夕焼とはちがう。 「お....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
、戸倉老人をさらっていったヘリコプターはどこへ飛び去ったか。 ヘリコプターは、
暮色に包まれた山々の上すれすれに、あるときは北へ、あるときは東へ、またあるときは....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
駈るがままに、ふらふらと舞台を飛廻り、やがて、樹根に※となりて、切なき呼吸つく。
暮色到る。 小児三 凧は切れちゃった。 小児一 暗くなった。――ちょうど可い。 ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
ものには相違なかった。しかし汽車が今|将に隧道の口へさしかかろうとしている事は、
暮色の中に枯草ばかり明い両側の山腹が、間近く窓側に迫って来たのでも、すぐに合点の....
「取舵」より 著者:泉鏡花
団々として渦巻く煤烟は、右舷を掠めて、陸の方に頽れつつ、長く水面に横わりて、遠く
暮色に雑わりつ。 天は昏※として睡り、海は寂寞として声無し。 甲板の上は一時....
「道」より 著者:織田作之助
伯はせつなく、自分の懶惰がもはや許せぬという想いがぴしゃっと来た。ひっそりとした
暮色がいつもの道に漂うていた。「つまりは友田の言った、よしやろう、これだな」呟き....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
。そこで父親は道ばたに出て、声を限りに呼んだ。 「ジャン! ジャーン!」 もう
暮色が蒼然とあたりに迫っていた。夕靄が烟るように野末にたち罩め、ものの輪廓が、ほ....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
日まず私達は長万部で室蘭線に乗換えてS金山へ行った。だが、駅に下りた時にはすでに
暮色が迫っていて、ただ山裾にひらけた鉱山部落や、山腹あたりに延びている大通洞の輸....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
る。 彼是する間に、水光天色次第に金色に変じ、美しさ言うばかり無し。常の釣には
暮色に促されて竿を収め、日の短きを恨みて、眷々の情に堪えざるを、今日のみは、これ....