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曇らせる
「曇らせる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
曇らせるの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
ちあけて、あとで困るようなことはないと思います。それ等は実に今日まで私の思い出を
曇らせる雲翳《うんえい》だったのです) 街を走る電車はその晩電車固有の美しさで....
「明暗」より 著者:夏目漱石
》があったので、それが真向《まとも》に双方を了解できる聡明《そうめい》な彼の頭を
曇らせる原因になった。女の挨拶《あいさつ》に相当の割引をして見る彼も、そこにはつ....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
り、ベッドのシーツを敷きなおしたり、それから馬鈴薯の皮をむいたりするようなことで
曇らせるのは、世界の学術のためにたいへんな損失である、――」 「まあ待ってくださ....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
ヤニヤと笑っている。 「ちょッ、しようがねえな。」と新吉は憤れったそうに、顔中を
曇らせる。「己ア飛んだ者を背負い込んじゃったい。全体和泉屋も和泉屋じゃねえか。友....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
思い顔……はッと思ッて、文三立ち止まッた。お勢も何心なく振り反ッてみて、急に顔を
曇らせる……ツと部屋へ入ッて跡ぴッしゃり。障子は柱と額合《はちあ》わせをして、二....
「火のついた踵」より 著者:宮本百合子
あなたが、ゆっくり遊んであげれば結構じゃあないか。 みさ子 だって……(深く顔を
曇らせる、遠慮しながら)貴方、あの人達の来るのがお厭なの? 振一郎 どうして? ....
「バルザックの寝巻姿」より 著者:吉行エイスケ
ら物馴れた眼をそむけて、醜悪なものの前で色を失っていた。外交官の松岡は頑丈な顔を
曇らせると眼を伏せてしまった。画家の山中はものに憑かれたように身動きもしなかった....
「「手首」の問題」より 著者:寺田寅彦
こうなるだろうと思って実験を始める。その場合に、もし研究者の自我がその心眼の明を
曇らせるようなことがあると、とんでもない失敗をする恐れがある。そうでない結果をそ....
「塵」より 著者:夢野久作
人々の睫毛までも白々としばたたかせて、昔ながらの迷信をいよいよ薄黒く、つまらなく
曇らせる。 ガラ空の旅人宿の真昼間からペコペコ三味線の音が洩れ出して来る。その....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
ゃ無いんでしょう。 アイリスは顳※や上眼瞼に青筋のある神経質の小さな顔を怪訝に
曇らせる。彼女の顔は晴れても曇っても品位を失わない顔立だ、調って正確な顔だ。彼女....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
黄がある。硫黄は非常に銀を黒くするものだから玉子料理を長く銀器へ入れておくと段々
曇らせるのさ」小山「なるほどね、問題中にはないけれども玉子を長く湯煮《ゆで》ると....