曙色[語句情報] » 曙色

「曙色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

曙色の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恋の一杯売」より 著者:吉行エイスケ
ている。脂ぽい好奇心に犯された赤い衣服、青い化粧した過去の女性の面影が盛り上った曙色の胸に掲げられている。旗亭ダリコントの熱情の女、アンナ・スラビナの周囲、旅装....
孟買挿話」より 著者:吉行エイスケ
訛のある社交的なバスが、ようこそ、Yさん。ミッセスが最前からお待兼です。と云って曙色になった頬に微笑を浮べて私を迎える。いまでは日本食の宴も半ば過ぎてテーブルを....
旅愁」より 著者:横光利一
っと顔が熱かった。そこへ手術台のような鉄板が引き出され、その上に父の骨がほのかな曙色を裡に湛えた燠の姿で並んで来た。彼はちょっと手で摘まみたくなったほど、それは....
夜の靴」より 著者:横光利一
は消えてしまうものだといわれている。米にもこれに似た天才力はあるのかもしれない。曙色をしている米の天才は消え失せたかもしれないが、努力の天才ということもまだ残っ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
うようにも見たり、また妙齢の処女だろうと見立てるものもあったり、その衣裳もまた、曙色《あけぼのいろ》の、朧染《おぼろぞめ》の、黒い帯の、繻子《しゅす》の、しゅち....
死者の書」より 著者:折口信夫
唯|彫りつけられたようになって、残っているのである。 万法蔵院の晨朝の鐘だ。夜の曙色に、一度|騒立った物々の胸をおちつかせる様に、鳴りわたる鐘の音だ。一ぱし白み....
東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
のばれて、一段の異彩を放っている。同じ正月朔日の日記に「鶏鳴き、紫階星落つ、朱欄曙色にして誠に新しきものなり」とあるが、これ叙し得て妙というべきで、この数句は『....
上海」より 著者:横光利一
ろくなことなんかしてないわよ。」 刺戟の強い白蘭花が宮子の指先きで廻されると、曙色の花弁が酒の中に散らかった。彼女は紫檀の円卓の上から花瓶を取ると、花の名前を....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
なに、十方無限の天空を見たのである。しかも、うッすらと夜の白みかけた雲の海には、曙色が映していた。 「かッ、克った!」 頂上を踏んだと思う途端に、彼は意志の弦....