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「曠野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

曠野の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
将軍」より 著者:芥川竜之介
一人、――穂積《ほづみ》中佐《ちゅうさ》は鞍《くら》の上に、春寒《しゅんかん》の曠野《こうや》を眺めて行った。が、遠い枯木立《かれこだち》や、路ばたに倒れた石敢....
デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
曠野《あれの》と湿潤《うるおい》なき地とは楽しみ、 沙漠《さばく》は歓《よろこ》....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
く。その行燈の枕許に、有ろう? 朱羅宇の長煙管が、蛇になって動きそうに、蓬々と、曠野に※う夜の気勢。地蔵堂に釣った紙帳より、かえって侘しき草の閨かな。 風の死....
聖書の読方」より 著者:内村鑑三
棉羊と山羊の皮を衣て経あるき、窮乏して難苦しめり、世は彼等を置くに堪えず、彼等は曠野と山と地の洞と穴とに周流いたり」とある(希伯来書十一章三十六―三十八節)、是....
天守物語」より 著者:泉鏡花
見な。暗夜のような黒い雲、眩いばかりの電光、可恐い雹も降りました。鷹狩の連中は、曠野の、塚の印の松の根に、澪に寄った鮒のように、うようよ集って、あぶあぶして、あ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
を漲らして、蒼穹の奥、黒く流るる処、げに直顕せる飛行機の、一万里の荒海、八千里の曠野の五月闇を、一閃し、掠め去って、飛ぶに似て、似ぬものよ。 ひょう、ひょう。 ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
―三光坂上の葭簀張を出た――この老人はうら枯を摘んだ籠をただ一人で手に提げつつ、曠野の路を辿るがごとく、烏瓜のぽっちりと赤いのを、蝙蝠傘に搦めて支いて、青い鳶を....
死者の書」より 著者:折口信夫
葛城あたりには、人居などは、ほんの忘れ残りのように、山陰などにあるだけで、あとは曠野。それに――本村を遠く離れた、時はずれの、人|棲まぬ田居ばかりである。 片破....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
攫われた悟空という格で、きょろきょろと四辺を※しておりましたが、頂は遠く、四辺は曠野、たとえ蝙蝠の翼に乗っても、虚空へ飛び上る法ではあるまい、瞬一つしきらぬ中、....
百喩経」より 著者:岡本かの子
らしくてならなくなった。 陀堀多は黍の中で泣いた。 殺天喩 一隊商が曠野で颶風に遇った時、野神に供うる人身御供として案内人を殺した。案内人を失った隊....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
対するその頃の直踏は余り高くはなかった。 然るに『罪と罰』を読んだ時、あたかも曠野に落雷に会うて眼|眩めき耳|聾いたる如き、今までにかつて覚えない甚深の感動を....
明るき世界へ」より 著者:小川未明
いまおまえは、まだ小さくて教えても歌えまいが、いんまに大きくなったら俺の教えた『曠野の歌』と、『放浪の歌』とを歌うのだ。」と、風は、木の芽にむかっていいました。....
常に自然は語る」より 著者:小川未明
、時代は、かくのごとく詩を解さないのである。 夏は来た。雲を見、その下に横わる曠野を想い、流るゝ河を眼に描き、さらに生活する人々を考える時、郷愁豊かなる民謡の....
青い星の国へ」より 著者:小川未明
「着くと暗くなりますの。」 おばあさんは、それぎりだまってしまいました。雪の曠野を走って、ようやく、目的地に着きました。しかし、急に思いたってきたので、通知....
曠野」より 著者:小川未明
、松の木は、考えるのでありました。 八|月の赫灼たる太陽の下で、松の木は、この曠野の王者のごとく、ひとりそびえていました。 ある日のこと、一人の旅人が、野中....