曳船[語句情報] » 曳船

「曳船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

曳船の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
す黒い河の水が、バチャンバチャンと石垣を洗っていた。発動機船が、泥をつんだ大きな曳船を三つもあとにくっつけて、ゴトゴトと紫の煙を吐きながら川下へ下っていった。鴎....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
したけれども仕方がない。それで三津浜出船の時などは、旧藩主が江戸へ出発する時、御曳船といって数多の小舟が印の旗を立てて御船唄というを歌いながら、沖まで漕ぎ連れて....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ろそろ海水浴をしている人たちもあり。午後四時頃まで実に晴れ渡って、沖を宇部へ通う曳船が重く並んで通るのが見え、水無瀬島の方もよく見え、いい景色でした。水無瀬島と....
無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
た。 二十二日の朝、ホノルル沖についた。信号旗をあげて、港の水先案内人をよび、曳船にひかれて、龍睡丸は港内にはいって、碇泊した。 私は上陸して、ホノルル日本....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
降っている。渡船には、頭巾を冠った巡査が一人だけ乗っていて、寒さに手足をすぼめ、曳船の掻き立てるすさまじい泡を眺めていた。 出島には、もう一点の灯りも見えない....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
えでると、番所からは取るものも取りあえず用船を出して取調べた上、江戸まで三崎丸を曳船《ひきふね》してきて当時のままのありさまで船蔵におさめてある。 万年橋《ま....
雪柳」より 著者:泉鏡花
寺の方へ出たでしょうか、真暗三方という形、かねて転居さきを端書で知っていました、曳船通の間淵の家に辿り着いた。ここで一片餉ありつこうし、煙草銭の工面をつけようと....
日和下駄」より 著者:永井荷風
ゅうがよい》の蒸汽船と円《まる》ッこい達磨船《だるません》を曳動《ひきうごか》す曳船の往来する外《ほか》、東京なる大都会の繁栄とは直接にさしたる関係もない泥海《....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
出ておるので市会でも有名である。 兎が立ち上ると、すぐ狸が立ち上った。狸は大坂曳船会社の社長で実名を桜島安五郎と言う。狸と言われる理由は二枚舌文部大臣中橋徳五....
ダルマ船日記」より 著者:山之口貘
かせては思い力み、努めて平気な面を装うて下腹に力をいれたりするんだが、そのうちに曳船のポンポンの音がきこえて来て、ついに目的を果すことが出来なかった。どうしても....
予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
、街々におおいかぶさる、どんよりとした雲が、そとの冷えびえとした空気を連想させ、曳船の汽笛が、夜のなごりのふかい霧を思わせる朝はなおさらのことである。 秋の朝....