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「書見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

書見の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
装《ひょうそう》の中に朦朧《もうろう》と墨色《ぼくしょく》を弁じていた。私は折々書見の眼をあげて、この古ぼけた仏画をふり返ると、必ず※《た》きもしない線香がどこ....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
すけよしかつ》は、その障子を後《うしろ》にして、端然と膝を重ねたまま、さっきから書見に余念がない。書物は恐らく、細川家の家臣の一人が借してくれた三国誌の中の一冊....
忠義」より 著者:芥川竜之介
時に、はげしい神経衰弱に襲われた。―― 肩がはる。頭痛がする。日頃好んでする書見にさえ、身がはいらない。廊下《ろうか》を通る人の足音とか、家中《かちゅう》の....
星座」より 著者:有島武郎
さな机があって、ホヤの綺麗に掃除された置ラムプの光の下で、園ははたして落ち着いて書見していた。戸外では雨も雪もまじえない風がもの凄く吹きすさんでいたが、この部屋....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
渦毛《うずげ》の犬の太くたくましきを容《い》れて、その頭を撫《な》でつつ、専念に書見したりしが、このとき鈴の音《ね》を聞くと斉《ひと》しく身を起こして、ひらりと....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
深く感を引いた。 この日は自分は一日家におった。三児は遊びに飽きると時々自分の書見《しょけん》の室に襲うてくる。 三人が菓子をもらいに来る、お児がいちばん無....
婦系図」より 著者:泉鏡花
髯の尖をピンと立てた、頤が円い。 「こちらへ、」 と鷹揚に云って、再び済まして書見に及ぶ。 お妙は扉に附着いたなりで、入口を左へ立って、本の包みを抱いたまま....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
屋ははやらないが、井筒屋の独り芸者は外へ出てはやりッ子なんだから――あきらめて、書見でもしようと、半分以上は読み終ってあるメレジコウスキの小説「先駆者」を手に取....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
んで来たのは、大江山捜査課長だった。 「おう、どうしたかネ、大江山君」 検事は書見をやめて、大きな机の陰から顔をあげた。 「ああ、そこにおいででしたか。喜んで....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
こんなこともございました。なんでも、いままでは夜分なんぞ、いつもかなり遅くまで御書見なさったり、お書き物をなさったりなされました御習慣が、ふっつりお止まりになり....
あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
ても内々の金貸で、仕舞屋のことですから、玄関口に錠をおろして、座敷で退屈まぎれに書見をしはじめたんです……ところが、三時の時計の音を聞いてから、ついウトウトとま....
火星兵団」より 著者:海野十三
研究室の方へ引返した。 新田先生は、室内にはいると、すぐさま、博士がさっきまで書見をしていた大きな机へ突進した。そうしてその大引出を、開いてみたのであった。 ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
使わないで、床の間の隅に、埃は据えず差置いた。心に叶って逗留もしようなら、用いて書見をなさいまし、と夜食の時に言ってくれた。 その机を、今ここへ。 御厨子を....
三枚続」より 著者:泉鏡花
「貴方|憚り様ですが呼鈴を、」とお睦まじい。 すなわち傍なる一閑張の机、ここで書見をするとも見えず、帙入の歌の集、蒔絵の巻莨入、銀の吸殻|落などを並べてある中....
雪柳」より 著者:泉鏡花
りし頃、兄の家に養わる、すなわち用なき部屋|住の次男。五月雨のつれづれに、「どれ書見でも致そうか。」と気取った処で、袱紗で茶を運ぶ、ぼっとりものの腰元がなかった....