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「曹司〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

曹司の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道祖問答」より 著者:芥川竜之介
きちょう》の向うに横になっている和泉式部《いずみしきぶ》の寝息であろう。春の夜の曹司《ぞうし》はただしんかんと更け渡って、そのほかには鼠《ねずみ》の啼く声さえも....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
三郎昌春といえども動揺せざるを得なかった。 彼は一冬を天幕で暮らした。貴族の御曹司たる彼としては、まさに破格の生活であった。難行苦行の生活であった。食物にも不....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
君でもなんでもない、十九歳までは乞食同様の願人坊主であった、それが、正銘の松平の曹司竹千代が駿府《すんぷ》に人質となっているのを盗み出し、それを信長に売り込んで....
源氏物語」より 著者:紫式部
《うめつぼ》の御殿を宿所に決めておいでになった。それで弘徽殿《こきでん》が尚侍の曹司《ぞうし》になっていた。隣の登花殿などは長く捨てられたままの形であったが、二....
源氏物語」より 著者:紫式部
として集まって来て、うらやましいほどにぎわしかった。承香殿の東のほう一帯が尚侍の曹司にあてられてあった。西のほう一帯には式部卿の宮の王女御がいるのである。一つの....
源氏物語」より 著者:紫式部
は退出するのであったが、代わるために明石が御所へ来た。そして東宮の御息所の桐壺の曹司で二夫人ははじめて面会したのである。 「こんなに大人らしくおなりになった方で....
源氏物語」より 著者:紫式部
思うようにずんずんと上へお進ませになるのであった。お住居の御殿に近い対をこの人の曹司におあてになって、装飾などは院御自身の御意匠でおさせになり、若い女房から童女....
源氏物語」より 著者:紫式部
宮であったから、喜んで御所へ急いだ。 兵部卿の宮が中宮のお宿直座敷から御自身の曹司のほうへ行こうとしていられるところへ按察使大納言家の若君は来た。殿上役人がお....
源氏物語」より 著者:紫式部
る女御、更衣のいる局々で心の内では競争心を持ち、表面は風流に交際している人たちの曹司の夜ふけになって物音の静まった時刻に、何ということのない悩ましさを心に持って....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
……とこう云うと地口になるかな」 「それそいつがよくない洒落だ。かりにも観世の御曹司が、地口を語るとは不似合だな」 「それ不似合、やれ不面目、家名にかかわる、芸....
剣侠」より 著者:国枝史郎
いて、真に磊落であり洒落であって、しかも本来が五百石取りの、先は大身の家柄の、御曹司である品位は落とさず、浪之助には慕わしくてならなかった。 「陣十郎のその悪剣....
馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
時どころではありません。明治の聖代の今日だって、犬塚信乃だの犬飼現八だの、八郎御曹司為朝だの朝比奈三郎だの、白縫姫だの楠こまひめだののような人は、どうも見当りま....
無月物語」より 著者:久生十蘭
一家団欒して夢のように楽しい日を送っていた。ある日、ちょうど長男の文雄も上洛して曹司《ぞうし》にいたが、長女の葛木姫が、 「父君がいなかったら、なんとまあ毎日が....
三国志」より 著者:吉川英治
た。 すると、物蔭に休んでいた従者のひとりががさがさと、歩み寄ってきて、 「御曹司、なにを無益に嘆き給うか。――あなたは、前途ある青年ではないか。この落日は明....
大岡越前」より 著者:吉川英治
ったんだ」 「そうですかねえ。そんな気まぐれもなさるかもしれない。何しろ変った御曹司ですよ。――つい、この間もね、こんなことがあって、それからあのお若衆が、紀州....