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有情
「有情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
有情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
、われを忘れてゆららに身体を弾ませていることがある。いずれにしろ稚純な心には非情
有情の界を越え、彼《ひ》と此《し》の区別を無《な》みする単直なものが残っているで....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
被《こうひ》する。敗れて地に塗《まみ》れた者は、尽きざる恨みを残して、長しなえに
有情の人を泣かしめる。勝つ者はすくなく、敗るる者は多い。 ここにおいて、精神界....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
のお説教を聴きに行くと、人は天が下の霊物で、万物の長だ、是れより尊いものは無い、
有情物の主宰だてえから、先ず禁裏さまが出来ても、お政治をなさる公方様が出来ても、....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
だから」とて、次のようなことばを教えられたのです。 「三|業に悪を造らず、諸々の
有情を傷めず、正念に空を観ずれば、無益の苦しみは免るべし」 というきわめて簡単....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
てくるものだとすると、何としても嫌味は若いもの、旺盛なるもの、元気、色気、富貴、
有情、幸運、生殖、繁殖、進行、積極、猛烈というふうなことから自然と湧き出して来る....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
か。アハハハハ、銭が無い時あ狂人が洒落てらあナ。 「お銭が有ったらエ。 「フン、
有情漢よ、オイ悪かあ無かったろう。 「いやだネ知らないよ。 「コン畜生め、惚れや....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
一)等の例にある。こういう人間的とも謂うべき歌は万葉には多い。人間的というのは、
有情非情に及ぼす同感が人間的にあらわれるという意味である。 ....
「作家の像」より 著者:太宰治
愚色を装い、 「本日は晴天なり、れいの散歩など試みしに、紅梅、早も咲きたり、天地
有情、春あやまたず再来す」 の調子で、とぼけ切らなければならぬ、とも思うのだが....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
しい語がしるしてあった。それを翻訳すると、こうである。 ――この壁に近づく者は、
有情と非情と、生けると死せるとを問わず、この針の動くが如くにわが意思は働く。この....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
体とから湧《わ》き出る愛の流れ。精神と意志との力。若々しい愛情と、皮肉な知恵と、
有情な肉体の悩ましい温かい香りと、影が消え情熱が眠っている輝かしい微笑。日輪の車....
「青春論」より 著者:坂口安吾
。ひどく都合のいいものである。女一般や恋人はどうなるのか。女房はとにかくとして、
有情の男子たるもの、あに女性なくして生き得ようか。 とはいうものの、僕は又考え....
「魔像」より 著者:林不忘
う》のもの――有形無形《うぎょうむぎょう》のうち、慾界色界《よくかいしきかい》の
有情《うじょう》は有形《うぎょう》にして、無慾無色界《むよくむしきかい》の
有情《....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
める涙 花は落ちて春山土|亦香ばし 非命|須らく薄命に非ざるを知るべし 夜台長く
有情郎に伴ふ 犬山道節 火遁の術は奇にして蹤尋ね※まんとす 寒光地に迸....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
ける足駄にて作れる笛には秋の鹿も寄る』とも記されました。して見ますれば、われわれ
有情の凡夫が色に狂い、恋に迷うも、まことに是非ない儀でござりましょうか。」 美....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
数を知り従容《しょうよう》として枯死《こし》し行けり。無情の草木|遥《はるか》に
有情《ゆうじょう》の人に優《まさ》るところなからずや。 余は初めて現代の我が社....