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有終の美
「有終の美〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
有終の美の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
り天下はいつまでも太平であろうとは誰でも感じていることで、この美徳を打破って憲政
有終の美を満たすには、唯一つ「選挙民の自覚」あるのみというも亦《また》十人が十人....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
繰返し述べていたのであるから、決して他日|漫に反噬するような事もなく、庄司署長は
有終の美をなしたのであろうが、こゝに少しく用意を欠いた為に、後日非常な面倒を惹起....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
―ながい、捉《とら》えどころのない影を海に向って投げていた。
運搬係りは今日を
有終の美にする意気ごみであった。新通路の祝いのために肩にして行くあれこれを昨夜か....
「親友交歓」より 著者:太宰治
さえ思い浮んだ。 けれども、まだまだこれでおしまいでは無かったのである。さらに
有終の美一点が附加せられた。まことに痛快とも、小気味よしとも言わんかた無い男であ....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
は思うが、北米合衆国全土は美しき雪原と氷山とに化してしまい、凍結元祖屋さんだけに
有終の美をなしたと、枢軸国側から拍手喝采を送られることになろうもしれぬのである。....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
《な》遂《と》げ、身《み》退《しりぞ》くという東洋風の先例にならい、女子としては
有終の美をなしたと思ったであろう。貞奴という日本新劇壇の最初にもった女優には、何....
「中庸」より 著者:坂口安吾
の無能、余の発狂、二つながらたぶん正しいのであろう。拙かりし生涯をかえりみれば、
有終の美をとどめたものと云うべきであろう。余は余の墓碑銘を次の如くに記しておいた。 「中庸に敗る」....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
を全うするのが美しく望ましいのはいうまでもない。この現実の世ではそうした人倫の「
有終の美」は稀なだけにどんなに尊いかしれない。天智天皇と藤原鎌足のような君臣の一....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
たことは、多くの競争者のなかにあってマネキン人形などつくるよりも、大光斎としては
有終の美であったにちがいない。 そうして、末起は、郊外の邸町で育ち、黒襟の、母....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
領との大戦争に及ばなかったらやはりただの浮浪物語であって馬琴の小説観からは恐らく
有終の美を成さざる憾みがあろう。そういう道学的小説観は今日ではもはや問題にならな....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
この回の「大原御幸」は、古典平家物語では、もう一章の「六|道」とあわせ、いわゆる
有終の美の、完結編となっている。 だが、大原御幸のことは、吾妻鏡とか玉葉とかい....
「日本文化の特殊性」より 著者:戸坂潤
日本の封建制は勿論徳川期だけではない。寧ろ徳川期は日本に於ける封建制が、単に
有終の美をなしたものにすぎない。或いは鎌倉時代以後の封建制を再強化したものにすぎ....