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朔風
「朔風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朔風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新ハムレット」より 著者:太宰治
向うの森のあたりには、星がまばたいているだけだ。 あやしい者は、どこにもいない。
朔風の勁い夜には、星の光も、するどいものです。 亡霊。(ハムレット。) もし、 ....
「李陵」より 著者:中島敦
ばく》に没せんとする辺の磽※《こうかく》たる丘陵地帯を縫って北行すること三十日。
朔風《さくふう》は戎衣《じゅうい》を吹いて寒く、いかにも万里孤軍来たるの感が深い....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
いつのまにか磯には犬ころ一匹もいなくなり、日が暮れてあたりが薄暗くなるといよいよ
朔風が強く吹きつけ、眼をあいていられないくらいの猛吹雪になっても、金内は、鬼界ヶ....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
がおります事は存じませんから、役人衆も宜しいと許します。それからこう行くと丁度|
朔風と申して四月時分も北風が吹く事がありまして、舟は益々早く、忽ち只今なれば四時....
「新年雑俎」より 著者:寺田寅彦
に立って呼鈴を鳴らしてもなかなかすぐには反応がなくて立往生をしていると、凜冽たる
朔風は門内の凍てた鋪石の面を吹いて安物の外套を穿つのである。やっと通されると応接....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
。その方がかえってよかった。空気と峻烈《しゅんれつ》な純潔との大風が、氷のごとき
朔風《さくふう》が、毒気を吹き払った。嫌悪の情は一撃のもとに、アーダにたいする恋....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に、ただ胸いっぱいに呼吸した。ゴットフリートを見送ってもどって来ると、氷のような
朔風《さくふう》が、町の大門に吹き込んで渦《うず》巻いていた。人は皆その強風に向....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
てゆくが、あいさつする者は一人もなかった。通りすぎる人々の冷ややかな鋭い軽蔑は、
朔風《きたかぜ》のように彼女の肉を通し心を貫いた。
小都市においては、一人の不....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
鷹《はげたか》の幽閉されてる墓穴の中を吹き過ぎていたが、なおいっそう酷烈悲壮なる
朔風《きたかぜ》は、これらの鳩《はと》のはいってるかごの中を吹いていた。
何ゆ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なくパンも着物も住居もない一少年を、寒気や霜や霰《あられ》や雨などから救い、冬の
朔風《きたかぜ》からまもり、熱を起こさせる泥中《でいちゅう》の睡眠から防ぎ、死を....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
境遇はすこぶる危険なものになってきた。 小屋の外にはこの世の終りのような物凄い
朔風が吹き荒れ、零下廿度の凛烈たる寒気が大地を凍りつかしている。ものの十分と立っ....
「三国志」より 著者:吉川英治
た。それに、家郷を遠く離れて、はや征野の木々にも冬の訪れが見えだしたところへ――
朔風にわかにふいて、中軍の将旗の旗竿が折れたりなどして、皆不吉な予感にとらわれて....
「三国志」より 著者:吉川英治
ら、霏々として、灰色の空から雪が降りだしてきた。 ちょうど十二月の中旬である。
朔風は肌をさし、道はたちまちおおわれ、雪は烈しくなるばかりだった。 一行が、隆....
「三国志」より 著者:吉川英治
して山を降りて、陣営に入ると、諸将を会して、こう語った。 「いま※雲野に起って、
朔風天に雪をもよおす。まさにわが計を用うべき時である。姜維は一軍をひきいて敵近く....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
が、ただこの溝の中にはそこに確実な春がありました。それはたとい北国の雪を思わせる
朔風が落ちてきてもびくともしないというような、落ち着き払って、じっと澄ましこんだ....