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「朝まだき〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朝まだきの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
源おじ」より 著者:国木田独歩
頼みに来る者もなし。夜に入りて波ますます狂い波止場の崩れしかと怪しまるる音せり。朝まだき、東の空ようやく白みしころ、人々皆起きいでて合羽《かっぱ》を着、灯燈《ち....
武蔵野」より 著者:国木田独歩
林影黒し」 同二十五日――「朝は霧深く、午後は晴る、夜に入りて雲の絶間の月さゆ。朝まだき霧の晴れぬ間に家を出《い》で野を歩み林を訪う」 同二十六日――「午後林を....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ばかり。 一夜がすぎて、同じようにつゆ上がりの霧の深い朝があけました。――その朝まだき。 「行ってこい!」 右門の唐突な命令が、不意に伝六へ下りました。 「....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
間の目にすぎない。翌朝から、すべてが白痴ケティを中心に廻転してゆくようになった。朝まだき、とつぜん銅鑼《どら》や長|喇叭《らっぱ》の音がとどろいた。みると、耳飾....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ただ料理天幕が騒がしいだけ……。芸人も起きてこず野獣の声もない、ひっそり閑とした朝まだきの一刻がある。そのころ、水槽をそなえた海獣の檻のまえで、なにやら馴育師か....
怪塔王」より 著者:海野十三
だが、こうして空中にとびだしてみると、あたりはいま、夜が明けはなれたばかりの朝まだきであることがわかりました。 朱盆のように大きくて赤い朝日が、その朝、こ....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
帯を、有史以来の大戦雲が、その真黒な大翼の下につつんでしまった日だ。 飛行島の朝まだき、飛行甲板の上には、一台の軽旅客機が、今にも飛びだしそうな恰好で、しきり....
黒百合」より 著者:泉鏡花
前後になり、藪について曲る時、透かすと、花屋が裏庭に、お雪がまだ色も見え分かぬ、朝まだき、草花の中に、折取るべき一個の籠を抱いて、しょんぼりとして立っていた。髪....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
い出を、そこに持っていることでしょう。夏になれば、一面にまといついて繁るぶどう。朝まだき、露をふくんで彼等にほほえみかける、畑の豆の花。彼等のどんなよろこびも、....
置土産」より 著者:国木田独歩
賽銭箱の上に置き、他の人が早く来て拾えばその人にやるばかり彼二人がいつものように朝まだき薄暗き中に参詣するならば多分拾うてくれそうなものとおぼつかなき事にまで思....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
て、その翌朝一九一六年四月十一日に、その日新しく生れ変った潜航艇『|鷹の城』は、朝まだきの闇を潜り、トリエステをとうとう脱け出してしまったのでした。あの時すぐに....
剣侠」より 著者:国枝史郎
博徒風の三人の男が、若い一人の女を担ぎ、耕地を走って行くところであった。 「この朝まだきに街道端で、女を誘拐すとは不埒千万、藤作殿嚇して取り返しましょうぞ」 「....
書記官」より 著者:川上眉山
したる顔して尾上に目を反らしぬ。辰弥は打ち笑みて過ぎけり。 いいしごとく善平は朝まだきに帰りを急ぎぬ。今日も同じくいたわられぬに光代の顔は打ち解けねど、心は早....
銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
夏の日の朝まだきに、瓜の皮、竹の皮、巻烟草の吸殻さては紙屑なんどの狼籍たるを踏みて、眠れ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
) 門の戸|開けよ。静けき夜はに。 門の戸|開けよ。風流男寝ず。 門の戸させ。朝まだきに。 ジイベル ふん。沢山歌うが好い。あんな女を褒めるが好い。 ....