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朧
「朧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ゅうかんのん》の軸が、煤《すす》けた錦襴《きんらん》の表装《ひょうそう》の中に朦
朧《もうろう》と墨色《ぼくしょく》を弁じていた。私は折々書見の眼をあげて、この古....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
や》のおりているせいか、甚だ曖昧を極めている。僕は長椅子に寝ころんだまま、その朦
朧《もうろう》と煙《けぶ》った奥に何があるのか見たいと思った。すると念力《ねんり....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
想《おも》わせる、ある夜の事でございましたが、その夜は珍しく月が出て、夜目にも、
朧《おぼろ》げには人の顔が見分けられるほどだったと申します。若殿様はある女房の所....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
《ふた》は正確に顔を映すはずはない。小さい円の中の彼の顔は全体に頗《すこぶ》る朦
朧《もうろう》とした上、鼻ばかり非常にひろがっている。幸いにそれでも彼の心は次第....
「影」より 著者:芥川竜之介
はそればかりではない。やがてその二階の窓際には、こちらへ向いたらしい人影が一つ、
朧《おぼろ》げな輪廓《りんかく》を浮き上らせた。生憎《あいにく》電燈の光が後《う....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
い》を争っていた。が、勇ましい大天使は勿論、吼《たけ》り立った悪魔さえも、今夜は
朧《おぼろ》げな光の加減か、妙にふだんよりは優美に見えた。それはまた事によると、....
「河童」より 著者:芥川竜之介
によれば、このステュディオでは写真をとると、トックの姿もいつの間《ま》にか必ず朦
朧《もうろう》と客の後ろに映っているとかいうことです。もっともチャックは物質主義....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
夫も、祥光院の門前に待っていた喜三郎と一しょになった。その日は薄雲が空に迷って、
朧《おぼろ》げな日ざしはありながら、時々雨の降る天気であった。二人は両方に立ち別....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
ら私は一体何をしていたのであろう。今になって考えると、それも遠い昔の記憶のように
朧《おぼろ》げにしかわからない。ただ、すすり上げて泣いている間に、あの人の口髭《....
「貉」より 著者:芥川竜之介
すくんでしまった。戸の前の砂の上に、点々として貉の足跡のついているのが、その時|
朧《おぼろ》げに見えたからであろう。……
この話は、たちまち幾百里の山河《さん....
「女体」より 著者:芥川竜之介
ぞ退屈だった事であろう。……
そんな事を漫然と考えている中に、楊の意識は次第に
朧《おぼろ》げになって来た。勿論夢ではない。そうかと云ってまた、現《うつつ》でも....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
の向うに白の水干《すいかん》の袖を掻き合せて、仔細《しさい》らしく坐っている。朦
朧《もうろう》とはしながらも、烏帽子《えぼし》の紐を長くむすび下げた物ごしは満更....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
そのかすかな火の光は、十六人の女に虐《さいな》まれている、小山のような彼の姿を朦
朧《もうろう》といつまでも照していた。……
翌日彼は眼をさますと、洞穴《ほらあ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
院へはいった後《のち》も容易に彼を離れなかった。彼は白い寝台《しんだい》の上に朦
朧《もうろう》とした目を開いたまま、蒙古《もうこ》の春を運んで来る黄沙《こうさ》....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
るのが、感じられた。「皆御家のためじゃ。」――そう云う彼の決心の中には、彼自身|
朧《おぼろ》げにしか意識しない、何ものかを弁護しようとするある努力が、月の暈《か....