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朧ろ
「朧ろ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朧ろの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
てその醍醐味の前後にはその境に到り得ない生活の連続がある。その関係を私はこれから
朧ろげにでも書き留めておこう。 外界との接触から自由であることの出来ない私の個....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
び泣く若いフランシスを見た。彼女は奇異の思いをしながらそれを眺めていた。春の月は
朧ろに霞んでこの光景を初めからしまいまで照している。 寺院の戸が開いた。寺院の....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
幼い頃の
朧ろげな記憶の糸を辿って行くと、江戸の末期から明治の初年へかけて、物売や見世物の....
「夜釣の怪」より 著者:池田輝方
めてその主人が話したそうです。 つまり「釣をしていると、水底から、ずっと深く、
朧ろに三尺ほどの大きさで、顔が見えて、馬のような顔でもあり、女のような顔でもあっ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
っていた。義人とまでいわれたその老翁が、何かある村のために尽したのだということも
朧ろ気ながら知っている。しかしそれ以上のくわしい事は何も知らなかった。 「実は今....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
小説その他のいわゆる軟文学をただの一時の遊戯に過ぎないとばかり思っていたのだが、
朧ろ気ながらも人生と交渉する厳粛な森厳な意味を文学に認めるようになったのはこの初....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
、今晩も風呂はなかった。 二十三 十三日はうす曇りであった、富士は
朧ろげに見える。 平林の村は、西と北とに山を負うて、東が展けている。村の入口か....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ウイチグスの師父に当るんだ」と法水は気魄の罩もった声で叫んだ。そして、床に映った
朧ろな影法師を瞶めながら、夢幻的な韻を作って続ける。
「ところでペンクライクが編....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
だった。 然し、その日のように雛段が飾られて、紅白に染め分けられた雪洞の灯が、
朧ろな裾を引き始めて来ると、そこにはまた別種の鬼気が――今度は、お筆の周囲から立....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
上に襲いかかってくるのを感じた。 それまではいつか笑い声のうちに消え去るかと、
朧ろな望みに耽っていたもの――それがいまや、吹きしく嵐と化したのであったが、二人....
「死者の書」より 著者:折口信夫
なかった墓穴の中が、時を経て、薄い氷の膜ほど透けてきて、物のたたずまいを、幾分|
朧ろに、見わけることが出来るようになって来た。どこからか、月光とも思える薄あかり....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
いの仲間を捨てたまま、パラパラと四方へ逃げ散った。 その隙に義哉は走り出した。
朧ろの春の月影に、丘の方を透かして見ると、お錦をかどわかした一団は、今や丘を上り....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
聖典の暗示によって、この島のどこかに大宝庫があり、発掘を待っているということを、
朧ろ気ながら知ることを得たのは十数年前のことであって、その時以来この島へ移住し、....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
ョッキリ脛を剥き出しているのもそれらしくて勇ましい。 空には上弦の初夏の月が、
朧ろに霞んだ光を零し、川面を渡る深夜の風は並木の桜の若葉に戦いで清々しい香いを吹....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
を※たけて見せ、諸所に聳えている宮殿の窓から垂帳を通して零れる燈火が花園の花木を
朧ろに染め、苑内のありさまは文字通り全く幻しの園であった。私は詰め所からうかうか....