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木目
「木目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
までむき出しにして、軟らかい髪の毛に快い触覚を感じながら、何を思うともなく天井の
木目《もくめ》を見やっているのも、珍しい事のように快かった。
やや小半時《こは....
「星座」より 著者:有島武郎
それを蝕《むしば》んだ。ずり落ちた瓦《かわら》は軒に這い下り、そり返った下見板の
木目と木節は鮫膚《さめはだ》の皺《しわ》や吹出物の跡のように、油気の抜けきった白....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
おれは又あの蜩の鳴くのが好きさ、どこの家でも前の往来を綺麗《きれい》に掃いて、掃
木目《ほうきめ》の新しい庭へ縁台を出し、隣同志話しながら煙草など吹かしてる、おい....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
けがつかぬ位、奥の間の最も煙に遠いとこでも、天井板がまるで油炭で塗った様に、板の
木目《もくめ》も判らぬほど黒い。それでも建ちは割合に高くて、簡単な欄間もあり銅の....
「特許多腕人間方式」より 著者:海野十三
、三本目の腕を、頭に取り付けるんだとは、考えつきませんでした」 「寒いときは、三
木目の腕を使うに限るですぞ。なにしろ機械腕のことだから、出し放しにしておいても、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
わたくしが見たのは江戸の末で、慶安当時から二百年も経っていましたから、自然に板の
木目が高く出て、すこぶる古雅に見えました。さてその絵馬について、こんなお話がある....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、軒で一度暗くなって、中が絶えて、それから、ぼやけた輪を取って、朦朧と、雨曝の
木目の高い、門の扉に映って、蝙蝠の影にもあらず、空を黒雲が行通うか何ぞのように、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
が呼ぶと、栗鼠よ、栗鼠よ、古栗鼠の小栗鼠が、樹の根の、黒檀のごとくに光沢あって、
木目は、蘭を浮彫にしたようなのを、前脚で抱えて、ひょんと出た。 袖近く、あわれ....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
あとは、目の前の階子段も深い穴のように見えて、白い灯も霜を敷いた状に床に寂しい。
木目の節の、点々黒いのも鼠の足跡かと思われる。 まことに、この大旅館はがらんと....
「古狢」より 著者:泉鏡花
―窓から、隙間から、立て籠むと見えて、薄い靄のようなものが、敷居に立って、それに
木目がありそうに見える。ところで、穿いた草履が、笹葉でも踏む心持にバサリとする。....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
一枚を貸したまわれ……」 ――旅僧はその時、南無仏と唱えながら、漣のごとき杉の
木目の式台に立向い、かく誓って合掌して、やがて笠を脱いで一揖したのであった。――....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
。のみならず彼の勧めた林檎はいつか黄ばんだ皮の上へ一角獣の姿を現していた。(僕は
木目や珈琲茶碗の亀裂に度たび神話的動物を発見していた)一角獣は麒麟に違いなかった....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
たの手は皮膚の手袋さえ穿めてないからね。 左側に板塀がある。雨風に洗い出された
木目が蓮華を重ねたように並んでいる。誰か退職官吏の邸らしい。この辺がまだ畑地交り....
「幽霊」より 著者:小野佐世男
たように眼があいたのだ。 頭は不思議と冴えていた。天井裏をながめる私の眼には、
木目までもがはっきりと見えた。壁に目を移すと、額縁が曲って掛っている。(朝になっ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
壁に嵌込んだ化粧窓は蛙股の古材を両断して合掌に組合わしたのを外框とした火燈型で、
木目を洗出された時代の錆のある板扉の中央に取附けた鎌倉時代の鉄の鰕錠が頗る椿岳気....