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木賃
「木賃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
木賃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
わずに、すっきりしたその人へ義理が有るから、手も附けないで突出すつもりで、一先ず
木賃宿へ帰ろうとする処を、御用になりました。たった一時でも善人になってぼうとした....
「春昼」より 著者:泉鏡花
島。津々浦々の渡鳥、稲負せ鳥、閑古鳥。姿は知らず名を留めた、一切の善男子善女人。
木賃の夜寒の枕にも、雨の夜の苫船からも、夢はこの処に宿るであろう。巡礼たちが霊魂....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
「御免下され、御免下され。」 と言った。 「正念寺様におまいりをして、それから
木賃へ行くそうです。いま参りましたのは、あの妓がちょっと……やかたへ連れて行きま....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
から念仏の声が出ました。 途中すがらもその若い人たちを的に仏名を唱えましょう。
木賃の枕に目を瞑ったら、なお歴然、とその人たちの、姿も見えるような気がするから、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
らりょう、と亭主はその段含ませたそうな気の可い顔色。 「御串戯もんですぜ、泊りは
木賃と極っていまさ。茣蓙と笠と草鞋が留守居。壁の破れた処から、鼠が首を長くして、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
らと、春の日を中へ取って、白く点したらしく、真昼浮出て朦と明るい。いずれも御泊り
木賃宿。 で、どの家も、軒より、屋根より、これが身上、その昼行燈ばかりが目に着....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
えなかったんでございますが、五日ばかり前に、その温泉に火事がありました。ために、
木賃らしい、この方に柄相当のなんぞ焼けていて、二三軒残ったのは、いずれも玄関附だ....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に記してあった。看板を書かえる隙もない、まだ出たてだという、新しさより、一人旅の
木賃宿に、かよわい女が紙衾の可哀さが見えた。 とばかりで、俊吉は黙って通過ぎた....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
向って鳥居から町一筋、朝市の済んだあと、日蔽の葭簀を払った、両側の組柱は、鉄橋の
木賃に似て、男も婦も、折から市人の服装は皆黒いのに、一ツ鮮麗に行く美人の姿のため....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
た時、お兼は新庄の山の頂を越えた、その時は、裾を紮げ、荷を担ぎ、蝙蝠傘をさして、
木賃宿から出たらしい貧しげな旅の客。破毛布を纏ったり、頬被で顔を隠したり、中には....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
のような汚がり屋さんが、はばかりをどうするって笑うんですの。巡礼といえば、いずれ
木賃宿でしょう、野宿にしたって、それは困るわね。でも、真面目ですよ、ご覧なさい―....
「山吹」より 著者:泉鏡花
現世の心の苦しみが堪えられませぬで、不断常住、その事ばかり望んではおりますだが、
木賃宿の同宿や、堂宮の縁下に共臥りをします、婆々媽々ならいつでも打ちも蹴りもして....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、いまだに不思議に思いますがね。」 「それッきり逢わなかったの。」 「ええ、もう
木賃の方へ逃げました。」 「惜しいことをしたねえ、何かお前に頼みごとでもあったん....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ね、」は嬉しいけれども、旅にして人の情を知る、となると、どうしても侘しい片山家の
木賃宿。いや、下宿の三階建の構だったのですが、頼む木蔭に冬空の雨が漏って、洋燈の....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
戯にも、そんな事を云って、お前さん。」 「谷へ下りたから、あのまんま田畝へ出て、
木賃へ引取りましょうよ。もう晩方で、山に稼ぎはなし、方角がそうなんですもの。」 ....