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「木霊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

木霊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
ひとり墜落、呼べども叫べども、誰の耳にもとどかぬ焦慮、青苔ぬらぬら、聞ゆるはわが木霊《こだま》のみ、うつろの笑い、手がかりなきかと、なま爪はげて血だるまの努力、....
火の鳥」より 著者:太宰治
胸の裏を焼きこがして、けれども、弱気に、だまっていた。 高野さちよは、山の霧と木霊《こだま》の中で、大きくなった。谷間の霧の底を歩いてみることが好きであった。....
狂言の神」より 著者:太宰治
呆《あほう》づら。しかも噂と事ちがって、あまりの痛苦に、私は、思わず、ああっ、と木霊《こだま》するほど叫んでしまった。楽じゃないなあ、そう呟いてみて、その己れの....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
杉の幹を立てたなりで、 花「卑怯だ/\」 と相撲取が一生懸命に呶鳴る声だから木霊《こだま》致してピーンと山間《やまあい》に響きました。 花「手前《てめえ》....
鯉魚」より 著者:岡本かの子
えの速《すみや》かなること、応変自由なること、鐘の撞木《しゅもく》に鳴るごとく、木霊《こだま》の音を返すがごとく、活溌《かっぱつ》、轆地《ろくち》の境涯《きょう....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
た。その声がまた、長い高い塔内に反響して、なんとも言えない陰にこもった呟くような木霊を伴うのだった。 「……わたしは今夜は非番でしたが、あの友田看守は、このごろ....
河明り」より 著者:岡本かの子
さしかける古い森林の深いどす青い陰を弾ね返すほど生気に充ちていた。 時々爆音が木霊する。男達は意味あり気な笑いを泛べて、 「やっとるね」 「うん、やっとるね」....
雛妓」より 著者:岡本かの子
た。 「奥さまのかの子さーん」 わたくしは不思議とこれを唐突な呼声とも思わず、木霊のように答えた。 「お雛妓さんのかの子さーん」 二三度、呼び交わしたのち、....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
たせて、逃げる天幕めがけて、どかんどかんとピストルをぶっ放した。銃声はものすごく木霊した。だが天幕は、あいかわらず走りつづけるのであった。 「あれっ、たしかに命....
怪塔王」より 著者:海野十三
竹法螺は、大きな、そしていい音色でもって、朗々と鳴りだしました。その音は山々に木霊し、うううーっと長く尾をひいてひびきわたりました。 「ああ、いい音だなあ」 ....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
にきこえるのは、谷底に遠くむせぶ水の音と、名も知れない夜の鳥の怪しく啼き叫ぶ声が木霊してひびくのみであった。更けるにつれて、霜をおびたような夜の寒さが身にしみて....
決闘」より 著者:神西清
力を入れさえすればいいのだ。…… 猛烈な反動が肩へ来た。銃声がひびき、山並みの木霊が答えた、「ぱぱーん!」 するとフォン・コーレンが撃鉄を上げて、ウスチモー....
木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
事があります、私共の仲間では此れを一口に『怪物』と云いまして、猿の所為とも云い、木霊とも云い、魔とも云い、その正体は何だか解りませんが、兎にかく怪しい魔物が住ん....
霧の中のヨードル」より 著者:中井正一
声は遠く寂けさの中に消えて行った。しばらくして、思いかけず、見ゆる峰々から「木霊」が帰ってくる。 一つ二つ三つ……四つ。 そして、もとの空虚な深い孤独感....
くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
で、木の神等を句句廼馳と号すともある。しかるに延喜式の祝詞には、屋船久久遅命(是木霊也)とあって、ククチの神とも云っていたものらしい。飛騨の工として木材の扱いに....