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未だ
「未だ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
未だの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
たかも知れない。が、憐みだったにもせよ、三十年後の今日さえ時々彼の夢に入るものは
未だにそれ等の場所ばかりである…………
信輔はもの心を覚えてから、絶えず本所の....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
もやはり恐しかった。彼は薄暗い電灯の光に黄檗《おうばく》の一行ものを眺めたまま、
未だ生を貪《むさぼ》らずにはいられぬ彼自身を嘲《あざけ》ったりした。
「甲野さん....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
れた学校の外の仮小屋で、炊き出しの握り飯を手にとった時とめどなく涙が流れた事は、
未だにどうしても忘れられません。
―――――――――――――――....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
かしこの雑誌社から発行する雑誌に憎悪《ぞうお》と侮蔑《ぶべつ》とを感じていた彼は
未だにその依頼に取り合わずにいる。ああ云う雑誌社に作品を売るのは娘を売笑婦《ばい....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
た頃、オルガンティノは失心の底から、やっと意識を恢復した。彼の耳には神々の声が、
未だに鳴り響いているようだった。が、あたりを見廻すと、人音《ひとおと》も聞えない....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
ですか?
小説家 大抵《たいてい》出来ました。ただ読む筈だった紀行や地誌なぞが、
未だに読み切れないのに弱っています。
編輯者 (気がなさそうに)そんな本が何冊も....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
聖、この宝香《ほうこう》を聞いて、願《ねがわ》くは降臨を賜え。――猶予《ゆうよ》
未だ決せず、疑う所は神霊に質《ただ》す。請う、皇愍《こうびん》を垂れて、速《すみ....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
「そんなものを又何にするんだ?」
「何にするもんか? 食うだけだよ。この辺じゃ
未だにこれを食えば、無病息災になると思っているんだ。」
譚は晴れ晴れと微笑した....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
逃さなかった。が、彼のために悲惨な死を招いた、あの猪首《いくび》の若者の記憶は、
未だに彼の心の底に傷《いた》ましい痕跡《こんせき》を残していた。この記憶を抱《い....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
る患はないかも知れぬ。が、我我と同じように楽しい希望を持ち得るであろうか? 僕は
未だに覚えている。月明りの仄《ほの》めいた洛陽《らくよう》の廃都に、李太白《りた....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
である。わたしは以前彼と共に、善とか美とか云う議論をした時、こう云った彼の風貌を
未だにはっきりと覚えている。「そりゃ君、善は美よりも重大だね。僕には何と云っても....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
は忘れたのではない。恐らくは作らずにしまったのであろう。僕はこの夢を思い出す度に
未だに寂しい気がしてならないのである。 魂はいづれの空に行くならん我に用なきこと....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
輯者中、僕の最も懇意にしたのは正に滝田君に違いなかった。しかし僕はどういう訳か、
未だ嘗て滝田君とお茶屋へ行ったことは一度もなかった。滝田君は恐らくは僕などは話せ....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
みをむすべるもの もう一度新たに書き出せば、恒藤は又論客なり。僕は爾来十余年、
未だ天下に彼の如く恐るべき論客あるを知らず。若し他に一人を数うべしとせば、唯児島....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
橋の上を去りやらず。この応答に襟懐俗了せしを憾みたり。巡査はまた一かえりして予が
未だ涼み居るを瞥視して過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば十二....