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朱唇
「朱唇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朱唇の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旧主人」より 著者:島崎藤村
細くなさいました。何とも物は仰いませんでしたけれど、御顔を見ているうちに、美しい
朱唇《くちびる》が曲《ゆが》んで来て、終《しまい》に微笑《にっこりわらい》になっ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
めただけだ。さして驚く気色もなく、化粧鏡をうしろにして、キッと痣蟹を見つめたが、
朱唇を開き、 「早く出ていってよ。もう用事はない筈よ」 「うんにゃ、こっちはまだ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
に横たわっている裸体婦人の寝顔……細い眉……長い睫毛……品のいい白い鼻……小さな
朱唇……清らかな腮……それはあの六号室の狂美少女の寝顔に生き写しではないか……黒....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
れた様子もなく、ジッと眼をつぶっていた。花びらが落ちたような小さなふっくらとした
朱唇が、ビクビクと痙攣した。杜はあたりに憚るような深い溜息を洩らして、腰をあげる....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
いうのはなす。」 時に、勿体ないが、大破落壁した、この御堂の壇に、観音の緑髪、
朱唇、白衣、白木彫の、み姿の、片扉金具の抜けて、自から開いた廚子から拝されて、誰....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
感じて、愕然とした。同時に今までは、お雪を救うために造られた、巌に倚る一個白面、
朱唇、年少、美貌の神将であるごとく見えたのが、たちまち清く麗しき娘を迷わすために....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
眉重く 同 寒紅の句は女性の美しい笑というものを取扱ったもので、笑みとけた
朱唇と寒紅のついた美しい歯とが描かれてある。 元ゆいかたき冬夜の髪に寝たりけり ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
「花ちゃん、おめでとう」
といった。
十三、検察の妄執の事
並に
朱唇綻ぶ事
山王下から有明荘へつづく険しい小径を、今しも一種狷介な足|調....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
しい名を永く後の世に留めているにすぎない。その時分に婀娜《あだ》な妓の可愛らしい
朱唇から宛転たる鶯の声のようにほとばしり出て、遊野郎や、風流客を悩殺せしめた数あ....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
人の「路易《ルイ》十五世時代の花籠」、……清楚なるもの、濃艶なるもの、紫花紅草、
朱唇緑眉、いずれが花かと見|紛《まご》うまでに、百花繚乱と咲き誇る。期せずして桟....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
かも知れない。いわんや、亡者を焼く烈々たる炎には、あの雪の膚が脂を煮ようものを。
朱唇に煉炭を吹こうものを。―― 私にしても仮にこの雪代夫人と…… 「でも、小父....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
くしてしまうものであるにせよ――この男に奔馬の脚を与えることは断じて出来ないと、
朱唇を噛んで意思するのであった。 「なにするんです!」 自分の勇気と無謀に驚き....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
盟主の風をみずからゆるしているかのような俊基だった。 志士的な語気、多感らしい
朱唇や、きらきらする眼。 それに宋学の造詣もふかく、よく下情に通じ、時局にたい....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
巻かれる段となっては、もういさぎよく笑顔を作っているしかなかった。 妓たちは、
朱唇をそろえて、まず言い囃す。 「どうした風の吹きまわしなんでしょう?」 「伊吹....