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「朱書〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朱書の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
親子」より 著者:有島武郎
。そこでと」 父は開墾を委託する時に矢部と取り交わした契約書を、「緊要書類」と朱書きした大きな状袋から取り出して、 「この契約書によると、成墾引継ぎのうえは全....
運命」より 著者:幸田露伴
の名あり。袈裟、僧帽、鞋、剃刀、一々|倶に備わりて、銀十|錠添わり居ぬ。篋の内に朱書あり、之を読むに、応文は鬼門より出で、余は水関御溝よりして行き、薄暮にして神....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
見るに、高利貸の名高き何某の貸し金督促状にして、しかのみならずその金額要件は特に朱書してありしという。ただそれのみならず、参謀本部の機密おりおり思いがけなき方角....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
に没収された。 泰不華元帥はその当時|西台の御史であったので、その事件の記録に朱書きをして、「鬼贓」としるした。鬼の贓品という意である。 一寸法師 元....
十二支考」より 著者:南方熊楠
たとさ(『即事考』四)。安政二年、出羽の代官からかようの鼠に関し差し出した届けの朱書に、その鼠、色赤く、常鼠より小さく、腹白く、尾短しとある由(『郷土研究』二巻....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
例となっている位で、店の真中に一本の燈心を灯し、これを繞って飾られている火薬に、朱書された花火という字が茫然と浮出している情景は、子供心に忘れられない記憶の一つ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
。僻案抄ミヤヒメノ。考タワヤメノ。古義ヲトメノ等の訓がある。古鈔本中|元暦校本に朱書で或ウネメノとあるに従って訓んだが、なおオホヤメノ(神)タオヤメノ(文)の訓....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
た。 たやすく察せらるるとおり、ジャヴェルは、司法省の統計年鑑のうちに無頼漢と朱書せられてる一種の階級からは非常に恐れられていた。ジャヴェルという名は彼らを狼....
近藤勇と科学」より 著者:直木三十五
四 一人が 「早馬《はや》だ」 と、叫んだ。腹当へ、大きく「御用」と、朱書した馬に乗った侍が、雪の泥濘《でいねい》を蹴って走ってきた。 「留めろ」 ....
魔都」より 著者:久生十蘭
くわかった。地図に井《いげた》の印がついていて、その傍に、「南部邸用水溜井戸」と朱書がしてある。加十は南部甲斐守の邸の井戸の中に落ち込んだのだ。南部甲斐守の邸は....
寄席行灯」より 著者:正岡容
タカダノババ」の今日では、今夏、あるところへ書いた私の小説など、校正注意と欄外へ朱書までしておいたのに、「駒形堂」を「こまんどう」とはルビしてくれず、むざんや、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
やたらにみえる。――すべて送りぬしの、頼源僧都の筆蹟なのだ。 帝はその附点やら朱書の部分を二日がかりでべつな紙へ写しとった。すると書物の内容とは縁のない独立し....
大岡越前」より 著者:吉川英治
戸は、なかった。 あったという、新しい土盛りの上に、 “狂女お燕之碑” と、朱書した小さい石が、ただ一つ、載せてある。 「これですか? ……これが井戸で」 ....