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朱漆
「朱漆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朱漆の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
た》には、鱗《うろこ》のかたに研《みが》きをかけた松の皮をそのまま用いて、上には
朱漆《しゅうるし》で、わからぬ書体が二字ばかり書いてある。 「この蓋が」と老人が....
「賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
があった際、人々に勧められて、余呉湖畔戦の想い出話をした事がある。「金の脇立物、
朱漆の具足の士と槍を合せたが、その武者振見事であった」と語った処が、その武者が主....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
無垢の観音の立像でございます。裏を返して見れば、天民謹んで刻すとあり、厨子の裏に
朱漆にて清水助右衞門と記して有りますを見て、清次は小首を傾け。 清「此の観音さま....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
村があぐらをかいていた。本がひろげたままおいてある卓が、二月堂だった。長方形の、
朱漆で細い線のめぐらされているその卓さえ、気がきいているだけ、よけい座敷の空気を....
「物売りの声」より 著者:寺田寅彦
も枇杷葉湯売りのそれなどは、今ではもう忘れている人よりも知らぬ人が多いであろう。
朱漆で塗った地に黒漆でからすの絵を描いたその下に烏丸枇杷葉湯と書いた一対の細長い....
「青年」より 著者:森鴎外
の町の北側に、間口の狭い古道具屋が一軒ある。谷中は寺の多い処だからでもあろうか、
朱漆の所々に残っている木魚や、胡粉の剥げた木像が、古金と数の揃わない茶碗小皿との....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
覗《のぞ》きます。 十畳の間、真中に紙張《しちょう》が吊ってあって、紙張の傍に
朱漆《しゅうるし》、井桁《いげた》の紋をつけた葛籠《つづら》が一つ、その向うに行....
「新年雑俎」より 著者:寺田寅彦
がある。尤も屠蘇そのものが既に塵埃の集塊のようなものかもしれないが、正月の引盃の
朱漆の面に膠着した塵はこれとは性質がちがい、また附着した菌の数も相当に多そうであ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
船橋は有名な古肆で、御菓子司の称号を暖簾に染め出していた御用達である。屋号を
朱漆で書いた墨塗の菓子箱が奥深く積み重ねてあって、派手な飾りつけは見せていない。....
「狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
落着く先は瓦町のさき 赤猪口兵衛 と彫って朱が入れて在る。大方、石塔に入れる
朱漆の残りを貰ったものであろう。 そうした門構えを入ると、本堂の阿弥陀様と背中....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
に見えない鴻山はどうしたろうとか、俵一八郎の伝書鳩はどうだとか、木曾のお六|櫛に
朱漆をかけてミネに銀の金具をかぶせ、こいつをひとつ源内櫛と銘をうって花柳界に流行....
「三国志」より 著者:吉川英治
て彩ることでありしか。いや見事見事。ご苦労ご苦労」と、からかった。 張飛の顔は
朱漆を塗ったように燃えた。その虎髯の中から大きく口をあいて、 「よしっ。汝を生捕....