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「朱筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朱筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
百合」より 著者:芥川竜之介
良平《りょうへい》はある雑誌社に校正の朱筆《しゅふで》を握っている。しかしそれは本意ではない。彼は少しの暇さえあれば、....
朱日記」より 著者:泉鏡花
鈕をはずして、ひくひくとした胸を出す。 雑所も急心に、ものをも言わず有合わせた朱筆を取って、乳を分けて朱い人。と引かれて、カチカチと、何か、歯をくいしめて堪え....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
屋にも女中部屋にも寝床が敷いてないのを見ても察せられた。其月は机のまえに坐って、朱筆を持って俳諧の巻の点をしているところを、うしろからそっと忍び寄って、刃物でそ....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
次は、 四、寝台。木ヲ組合ワセテ作リタル丈夫ナルモノ。台ノ内側又ハ蒲団綿ノ中に、朱筆ヲ以テ6033ト記シタル唐紙片ヲ発見セラルベシ。 途方もない騒ぎとなった。....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ばかり、先生にまだしも叱正を得て、色の恋のと、少しばかり甘たれかかると、たちまち朱筆の一棒を啖うだけで、気の吐きどころのない、嵎を負う虎、壁裏の蝙蝠、穴籠の熊か....
郊外」より 著者:国木田独歩
ばかり、共に青山御家人の息子で小供の時から親の代からの朋輩同士である。 時田は朱筆を投げやって仰向けになりながら、 『君|先だって頼んで置いたのはできたかね。....
六月」より 著者:相馬泰三
ていたかのように彼の目に映った。彼が席につくと、すぐ後ろにいた校正係りのT―老が朱筆をちょっと小耳に挾んで曽根の方へ向き、 「昨日の市内版へ、もう少しで君の記事....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
良平は二十六の年、妻子と一しょに東京へ出て来た。今では或雑誌社の二階に、校正の朱筆を握っている。が、彼はどうかすると、全然何の理由もないのに、その時の彼を思い....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ている。フツカヨイの坊介が女の子から水をもらってガブ/\呑んでいるうちに、半平は朱筆を握り、原稿用紙に大きな字をかきなぐる。 「当商事常務取締役正宗菊松氏につき....
巷談師」より 著者:坂口安吾
岐阜、鳴尾、住之江などゝいうのがある。紙面の各々には判読に苦しむ細かさでベッタリ朱筆がいれてあった。 「君、競輪、商売にしてる人かい?」 ときくと、つまらなそ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
じた何冊かの稿本があり、そこに風守の自署があって、彼の作った詩文であった。そこに朱筆が入れてあるのは祖父の手であるらしい。年月日が記してあり、十一二から上京まで....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
ものか?) 無心に蛾の方へ眼を向けたまま、こう主税は思っていた。 一つの蛾が朱筆の穂のような火先に、素早く嘗められて畳の上へ落ちた。死んだと見えて動かなかっ....
奉行と人相学」より 著者:菊池寛
っていた。 尤も、それは形式的なもので、奉行が決定した罪の判決文の上に、将軍が朱筆で、マルをかくだけである。むかしは、将軍自身が死一等を減ずることなどがあった....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、白拍子はまだしも、畏多いが歌の住吉明神のお声だって写すんです。謡本と首引きで、朱筆で点を打ったって、真似方も出来るもんか。 第一、五紋の羽織で、お袴で、革鞄....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
来て、十五、六年前の幽霊をかついでまわるのは何という愚かなことだと、私はつくづく朱筆を投げてしまった。小樽の色内町のキト旅館の二階での歎息である。私は処女歌集の....