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朱鞘
「朱鞘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朱鞘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
こう考えた時、自分の手はまた思わず布団《ふとん》の下へ這入《はい》った。そうして
朱鞘《しゅざや》の短刀を引《ひ》き摺《ず》り出した。ぐっと束《つか》を握って、赤....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
そこそと出て行った。 講武所ふうの髷に結って、黒|木綿の紋付、小倉の馬乗り袴、
朱鞘の大小の長いのをぶっ込んで、朴歯の高い下駄をがらつかせた若侍が、大手を振って....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
と待て。」 千浪は座敷へ引っ返して、床の間の刀架けから、だいぶ佩《は》き古した
朱鞘《しゅざや》ごしらえの父の大刀を持って来て、はしご段のなかほどに待っていた法....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
《かたぎぬ》でいる、それは可《よ》い、脇指をさして居る、それも可いが、其の脇指が
朱鞘《しゅざや》の大脇指も大脇指、長さが壱尺八九寸もあった。そんな長い脇指という....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とは非常に趣を異にして、その骨格の逞《たくま》しいところに、小倉《こくら》の袴に
朱鞘《しゅざや》を横たえた風采が、不得要領の貧窮組に見らるべき人体《にんてい》で....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
肉中背の二十歳《はたち》を幾つも出まいと思われる美男でした。それが着物は引裂け、
朱鞘《しゅざや》の大小をだらしなく差したまま、顔面にも、身体にも、多少の負傷をし....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たな」 と鐚は思いました。 ガラリと腰高障子を引きあけた木口勘兵衛尉源丁馬は、
朱鞘《しゅざや》の大小の、ことにイカついのを差しおろし、高山彦九郎もどきの大きな....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
現われた武士は浪人らしくて、尾羽打ち枯らした扮装であって、月代なども伸びていた。
朱鞘の大小は差していたが、鞘などはげちょろけているらしい。が時々光るのは、月光が....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
文字の大髷《おおまげ》、打割《ぶっさき》羽織に小倉《こくら》の袴《はかま》、白柄
朱鞘《しろつかしゅざや》の大小を閂《かんぬき》のように差しそらせて、鉄扇片手に朴....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
の垢染みたのに裁付袴。背中から腋の下へ斜に、渋段々染の風呂敷包を結び負いにして、
朱鞘の大小ぶっ込みの他に、鉄扇まで腰に差した。諸国武者修業の豪傑とは誰の眼にも見....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
うに狐鼠狐鼠と出て行った。 講武所風の髷に結って、黒木綿の紋附、小倉の馬乗袴、
朱鞘の大小の長いのをぶっ込んで、朴歯の高い下駄をがら付かせた若侍が、大手を振って....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ると、 ソノ装束ハ、赤裸ニ茜染ノ下帯、小王打チノ上帯ハ幾重ニモマハシ、三尺八寸ノ
朱鞘ノ刀、柄ハ一尺八寸ニ巻カセ、二尺一寸ノ打刀モ同ジニ仕立テ、頭ハ髪ヲツカミ乱シ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
にあった自来也|鞘と同じ物ですよ」 「そういわれてみると、江戸には見かけぬ珍しい
朱鞘を差している」 「押絵が、抜けだして、市の景気に浮かれているんじゃないかしら....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
の装束は、赤裸に茜染の下帯、小玉打の上帯を幾重にもまはしてしかとしめ、三尺八寸の
朱鞘の刀、柄は一尺八寸に巻かせ、鐺は白銀にて八寸ばかりそぎにはかせ、べつに一尺八....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
によって売られた喧嘩を買う位の勇気は持っていたであろう。が、相手は誰かと思うと、
朱鞘の大小をかんぬき差しに差した身の丈抜群の侍だった。しかも誰にも恐れられていた....