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「杉箸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

杉箸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二百十日」より 著者:夏目漱石
が、あすの昼飯《ひるめし》の相談をする。 「饂飩はよすよ。ここいらの饂飩はまるで杉箸《すぎばし》を食うようで腹が突張《つっぱ》ってたまらない」 「では蕎麦《そば....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
く煤《すす》がかたまって黒く釣りを懸《か》けている。左から四本目の桟の中ほどを、杉箸《すぎばし》が一本横に貫ぬいて、長い方の端《はじ》が、思うほど下に曲がってい....
道草」より 著者:夏目漱石
う事が多かった。彼の最も面白がったのは河豚《ふぐ》の網にかかった時であった。彼は杉箸《すぎばし》で河豚の腹をかんから太鼓《だいこ》のように叩《たた》いて、その膨....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
」 邸の庭が広いから、直ぐにここへ気がついた。私たちは思いも寄らなかった。糸で杉箸を結えて、その萩の枝に釣った。……この趣を乗気で饒舌ると、雀の興行をするよう....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
心して、寸法の足りないところまでに気がつかなかった。 辛抱に辛抱を重ねて、短い杉箸を集めていった僕は、もうよかろうというところに達した。こんどは方針をかえて、....
病室の花」より 著者:寺田寅彦
置かれたままで、毎夜の霜にさらされていた。ベコニアはすっかり枯れて茎だけが折れた杉箸のようになり、蟹シャボの花も葉もうだったようにベトベトに白くなって鉢にへばり....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
。――誰に習っていつ覚えた遣繰だか、小皿の小鳥に紙を蔽うて、煽って散らないように杉箸をおもしに置いたのを取出して、自棄に茶碗で呷った処へ――あの、跫音は――お澄....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
赤福の餅の盆、煮染の皿も差置いたが、猪口も数を累ねず、食べるものも、かの神路山の杉箸を割ったばかり。 客は丁字形に二つ並べた、奥の方の縁台に腰をかけて、掌で項....
白銅貨の効用」より 著者:海野十三
十銭白銅貨の重量はザッと一|匁である。これは記憶するのにまことに便利だ。随って、杉箸の中央に糸をつけてこれを指でもち、そのところより両方へ等距離の箇所を選び、糸....
岡ふぐ談」より 著者:佐藤垢石
、期待したほどでもなかった。 次に、鍋に入れ水からゆでて、くさみを去るために、杉箸二本を入れて共に鍋に入れる。沸ったならば、目笊に受けて、水にて洗う。別の鍋に....
式部小路」より 著者:泉鏡花
野郎でさ。」 「三|厘でもありさえすりゃ、中汲だろうが、焼酎だろうが、徳利の口へ杉箸を突込んで、ぐらぐら沸え立たせた、ピンと来て、脳天へ沁みます、そのね、私等で....
妾宅」より 著者:永井荷風
って、下痢《げり》した人糞のような色を呈した海鼠《なまこ》の腸《はらわた》をば、杉箸《すぎばし》の先ですくい上げると長く糸のようにつながって、なかなか切れないの....
美味い豆腐の話」より 著者:北大路魯山人
じも悪いし、煮え方がいらいらしておもしろくない。こんろか火鉢にかけてやる。 一、杉箸 湯豆腐を食べる箸は、塗箸や象牙箸のようなものでは豆腐をつまみ上げることがで....
五重塔」より 著者:幸田露伴
やら心にかかる今日の首尾をも、口には出して尋ね得ぬ女房は胸を痛めつつ、その一本は杉箸で辛くも用を足す火箸に挾んで添える消炭の、あわれ甲斐なき火力を頼り土瓶の茶を....
昆布とろ」より 著者:北大路魯山人
刻み昆布の入った擂鉢の中へ前述の醤油加減しただしを、最初少しばかり入れて、それを杉箸五本くらいを片手に持って、かきまわすのである。擂粉木でするのもよい。それを十....