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杞憂
「杞憂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
杞憂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
ふぼん》は、華頂山文庫《かちょうさんぶんこ》の蔵本を、明治|戊辰《ぼしん》の頃、
杞憂道人《きゆうどうじん》鵜飼徹定《うがいてつじょう》の序文と共に、出版したもの....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
」のためを計るべきものであろうか。しかも、林右衛門の「家」を憂《うれ》えるのは、
杞憂《きゆう》と云えば
杞憂である。彼はその
杞憂のために、自分を押込め隠居にしよう....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
夫であった。彼は今日の忠直卿の常軌を逸したとも思われる振舞いについて、微かながら
杞憂《きゆう》を懐く一人であった。無論、彼は自分の主君が、自分たちの昨夜の立話を....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
とした不安を、豹一の心に強いる結果になったわけである。 そしてこの不安は単なる
杞憂では終らなかった。 三 ある日、多鶴子は用事があると称して、ひとりで外出し....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
なんだか今にもそのピストルの口が僕の方にきそうな気配を感じたのだ。 だがそれは
杞憂におわった。博士はピストルを、書類の下にそっとさし入れると、鞄の蓋を閉じて、....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
するのよ。あっちで何か間違いでもあったんじゃないかしら」 二人の心配は果たして
杞憂《きゆう》であったろうか。 現場近接 海底へ下りたワーナー博士一行十名は人....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半七らがうたがっていたような勤王や討幕などの陰謀はまるで跡方もないことで、一種の
杞憂に過ぎなかった。かれはやはり初めに云ったような、偽公家の山師であった。その山....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
粋個性内部の衝動であるが故に、必ずしも社会生活と順応することが出来ないだろうとの
杞憂は起りがちに見えるからである。 けれども私は私の意味する本能的生活の意味が....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
られたい。あの思いやりのある婦長さんや、新聞記者君が心配して下すったことは、遂に
杞憂に終ったのであるから。つまりあの患者は、ラジウムに生命を取られることなしに、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
間に気が変になりそうだ。しかしそれは事にあたれば何でもなく行なわれることであり、
杞憂であるかもしれぬ。 八月十三日 ◯朝、英と相談する。私としてはいろいろの場....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
役を筋書にして、黒死館の虐殺史が起らねばならなかったのだろうか。それに、あるいは
杞憂にすぎんかもしれんがね。僕はここに名を載せられていない旗太郎と、クリヴォフと....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
もあるのだろうか? この辺をさかいに巨獣が消えたのと思い合わせて、これがたんなる
杞憂ではなさそうに考えられて来た。いまにも足もとの土がざあっと崩れるのではないか....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
裂させて行くのである。 この空間に於いては、空虚なる樹木は倒れはしまいかという
杞憂のために、空虚なる根を張っている。寺院も、宮殿も、馬も実在しているが、みな空....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
やいやこれは食わせ物だ。色を売る女であろうもしれぬ」 しかし間もなくその疑いが
杞憂であったことが証拠立てられた。 「あの、ここが妾の家で」 こう云いながら指....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
の「暗の力」や又は「織工」の如き作物は、貧窮の長い絶叫か若しくは悲嘆話しで、其の
杞憂や絶望は、既に余りに生活の為めに苦しめられている貧民に元気をつけるとか慰安を....