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来す
「来す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
来すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
《きれい》に口髭《くちひげ》の手入れをした、都会人らしい紳士である。少年の顔に往
来する失望や当惑に満ちた表情。紳士は少年を残したまま、さっさと向うへ行ってしまう....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
んだん苛立《いらだ》たしさを感じ、もう一度欄干によりかかりながら、やはり人波の去
来する埠頭の前後を眺めまわした。そこには肝腎のBさんは勿論、日本人は一人も見当ら....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
らそれへと縁を引いて際限なく彼を虐《さいな》みに来る。だから彼はこれらの感情が往
来するのに従って、「死ぬ。死ぬ。」と叫んで見たり、父や母の名を呼んで見たり、ある....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
何しろここは東京の中心ですから、窓の外に降る雨脚《あまあし》も、しっきりなく往
来する自働車や馬車の屋根を濡らすせいか、あの、大森《おおもり》の竹藪にしぶくよう....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
かし――しかし彼は人間であった。
時々彼が谷川の石の上に、水を掠《かす》めて去
来する岩燕《いわつばめ》を眺めていると、あるいは山峡《やまかい》の辛夷《こぶし》....
「或る女」より 著者:有島武郎
の事が気になった。倉地の下宿のほうに遊びに行く時でも、その近所で人妻らしい人の往
来するのを見かけると葉子の目は知らず知らず熟視のためにかがやいた。一度も顔を合わ....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
こしつつあることを、感じないものはなかろう。その自壊作用の後に、活力ある生活を将
来するものは、もとよりアリストクラシーでもなければ、富豪階級でもありえぬ。これら....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。お前のかくすることは、無事ということにのみ執着したがる人間の生活には、不都合を
来す結果になるかも知れない。又表面的な進歩ばかりをめやすにしている社会には不便を....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、立掛ける、とまたしても、(待ちおれ。)だ。 (分ったか、何、分った、偉い! 出
来す、)と云ってね、ふふん、と例の厭な笑方をして、それ、直ぐに芸妓連の顔をぎょろ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
めから、毎月々々一枚ずつ、月の朔日にはきっと写真を写してね、欠かさず私に送って寄
来すんだよ。まあ、御深切様じゃないかね。そのたんびに手紙がついてて、(いや今月は....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
ざる天下控訴院の椅子にかかろうとする二三日。 足の運びにつれて目に映じて心に往
来するものは、土橋でなく、流でなく、遠方の森でなく、工場の煙突でなく、路傍の藪で....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
で大方|退いて、翌日は天日快晴。四十物町はちょろちょろ流れで、兵粮を積んだ船が往
来する。勇美子は裾を引上げて濁水に脛を浸しながら、物珍らしげに門の前を歩いていた....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
到るを待つがよい。必ずやわれ等の教訓が、人類の間に全面的承認を受くる時代が早晩到
来する。われ等は決してあせらない。われ等は常に人類の福祉を祈りつつ、心から真理に....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
何にもない、木理滑かなること白膏のごとし。――その理、測るべからず。密に西洋に往
来することを知って、渠を憚るものは切支丹だとささやいた。 ――鳶(鶴ではない)....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
期戦争は現今、戦争の常態なりと一般に信ぜられあるも、歴史は再び決戦戦争の時代を招
来すべきを暗示しつつあり。しかして将来戦争は恐らくその作戦目標を敵国民となすべく....